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「最強連合」に向けてイオンを頼ったツルハ モノ言う株主の指摘は本当に正しいのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月3日 11時20分

「最強連合」に向けてイオンを頼ったツルハ モノ言う株主の指摘は本当に正しいのか

経営統合の背景は?

 群雄割拠であったドラッグストア業界で、再編の動きが加速してきた。国内で業界1位のウエルシアホールディングス(以下、ウエルシア)と、業界2位のツルハホールディングス(以下、ツルハ)が2027年末までに経営統合を目指すと発表。両社の大株主であるイオンが主導するという。実現すれば、売上高2兆円規模で業界内ダントツの企業が生まれることになる。

 ウエルシアがツルハの完全子会社となり、巨大化したツルハは近い将来イオンの子会社となる見込みだ。危機感を持った競合他社がどう動くか、注目される。

 ウエルシアとツルハはともに、M&Aを駆使して大手企業にのし上がった経緯があり、その意味ではよく似た会社である。また、以前からイオンと資本業務提携を結んでもいる。そもそもM&Aが日常化した企業文化かつ、元から交流がある企業同士でないと、経営不振でもないのに、業界でしのぎを削る1位と2位の合併は起こり得ないだろう。

 両社は経営統合後、イオンの持つリソースを生かしてアジア市場も狙うとのこと。ただし、アジアの業界トップである香港のワトソングループは、さらに上を行く3兆円規模の会社。ウエルシア・ツルハ連合は、このワトソングループを当面のライバルと見て、5年を目途に3兆円規模の会社に成長させる意向だ。ちなみに現状の海外展開は、ウエルシアはシンガポールに13店舗(2023年11月末時点)、ツルハはタイに19店舗(2024年5月15日時点)を有しているのみである。

 業界大手同士の経営統合には先例がある。2021年10月、マツモトキヨシホールディングス(HD)とココカラファインが経営統合。マツキヨココカラ&カンパニーとなった。ココカラファインのM&AにはスギHDも参戦し、マツモトキヨシと争奪戦になったのは記憶に新しい。こうした事例もあったので、ウエルシア・ツルハ連合はそこまで驚天動地のニュースではなかった。

●あくまで業界は好調 マツキヨココカラの裏には「コロナ」あ

 いずれも決算時期は異なるが、直近の決算(連結)では売上高1位がウエルシアで約1兆2173億円(前年同期比6.4%増)。2位はツルハとマツキヨココカラ&カンパニーがしのぎを削る。以降も、トップ10は全ての企業で売り上げが伸びており、頭打ちの業界ではない。今すぐに経営統合しなければならない、差し迫った理由は見出せない。ただし、今後出店余地が少なくなり、1店舗当たりの売り上げが低下すれば、百貨店やスーパー、コンビニのように大手チェーンの統廃合が進むといわれている。

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