「ニッセン売却」が象徴するセブン&アイEC構想の大失敗 カタログ通販に残された利用価値とは
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月12日 8時0分
![写真](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/itmedia_bizmakoto/itmedia_bizmakoto_20240610090_0-small.jpg)
セブン&アイ、ニッセンを売却(公式Webサイトより引用)
5月9日、セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)は、子会社の総合通販企業ニッセンホールディングスの全株式を売却すると発表した。セブン&アイは、グループのポートフォリオの見直しを進めており、昨年は百貨店そごう・西武を不動産ファンドに売却。直近の2024年2月期決算説明会においても、祖業イトーヨーカ堂を中心としたスーパーストア事業の分離独立方針(株式上場後、持分法適用水準の株式保有が前提)を発表したばかりである。
「グローバルコンビニ企業を軸とした、食を中心とする世界トップクラスのリテールグループとしての成長戦略」という大方針の下、セブン&アイはすでに高級セレクトショップのバーニーズジャパン、スポーツ用品のオッシュマンズを売却。振り返ると、セブン&アイが売却した企業の多くは、2000年代の小売大再編時代にM&Aによりグループに加わっている。
●「オムニ7」構想の置き土産
セブン&アイには2023年2月期まで「百貨店・専門店事業」というセグメントがあり、主要企業の業績が開示されていた。しかし、そごう・西武の売却に伴って2024年2月期ではその他事業に括られたため、直近の状況は分からなくなった。
百貨店・専門店事業の主要企業とは、そごう・西武、赤ちゃん本舗、セブン&アイ・フードシステム(デニーズ)、ロフト、ニッセンホールディングスの5社を指す。2013年以降の業績をみるに、どの企業も営業収益、売り上げともに伸び悩んでいたことが分かる(図表1)。
かつて、セブン&アイは多様な小売業態をグループ化し、ネットをベースに連携させるオムニチャネル戦略「オムニ7」という構想を持っていた。リアル店舗、EC、カタログ通販、ソーシャルメディアなどの複数のチャネルをシームレスに連動させ、いつでも、どこでも同じように利用できる環境を作る、といった構想だ。そのため、グループ内にさまざまな小売業態があっても不自然ではない。
しかし、オムニ7はネットやECにおいて存在感を出せず、2023年1月に閉鎖された。その結果、セブン&アイ内に多様な小売業態がある必要性も失われてしまったのだ。
●かつて国内有数の総合通販企業だったニッセン
ちなみに、ニッセンがかつて国内有数の総合通販企業だったことをご存じだろうか。若い世代は記憶にないかもしれないが、ECが当たり前ではなかった時代、通販チャネルと言えば、テレビ、ラジオショッピングもしくは、カタログを見て紙や電話で注文するカタログ通販が主流だった。
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