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流浪のクルーズトレイン「THE ROYAL EXPRESS」が静岡、浜松へ JR東海に観光列車の幕が上がる

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月15日 7時30分

 東京と横浜と伊豆を結ぶ列車は、JR東日本が特急「踊り子」をたくさん走らせている。「スーパービュー踊り子」(2020年廃止)というハイグレード列車もある。しかし、東急電鉄(当時)自身が運行することに意義がある。

 「踊り子」と差別化するためにも、東急のシンボルとなるハイグレード列車が必要だ。座席の販売だけではなく、食事やリゾートと組み合わせたクルーズトレイン方式としたい。しかし、横浜~伊豆急下田間は距離が短く車内宿泊はふさわしくない。そこで車内はテーブル付き座席が主体となった。

 車両のデザインは、JR九州で「ななつ星in九州」「或る列車」などを手がけた水戸岡鋭治氏が担当した。木材などの天然素材を難燃(なんねん)処理(燃えにくい材料へと加工処理を行うこと)してふんだんに使い、リゾートホテルのロビーやラウンジを想起させる。いわゆる「水戸岡デザイン」の発展型ともいえる。

 8両編成のうち座席車は4両のみ。1両はマルチカーと呼ばれるイベントスペース、1両は加熱調理可能なキッチンカー、残り2両はダイニングカーとなっている。合計定員100名という贅沢(ぜいたく)な仕様だ。

 ツアーは伊豆の高級旅館、リゾートホテルを組み合わせた1泊2日の「クルーズプラン」と宿泊なしの「食事付き乗車プラン」があり、クルーズプランは2名1室で1名当たり13万5000円から。食事付き乗車プランは2万5000円から(2017年の料金)。

 かくして、東急によるクルーズトレインは走り出した。

●出張の始まりはJR北海道

 伊豆のクルーズトレインとして定着した「THE ROYAL EXPRESS」だけど、2019年に「THE ROYAL EXPRESS」の北海道クルーズが発表され、2020年に運行開始となった。「北海道胆振東部地震の影響を受けた北海道を応援するため、観光振興と地域活性化を目的とした、観光列車の走行プロジェクト」と紹介された。これは鉄道ファン、旅行ファンなど多くの人々を驚かせ、関心を集めた。

 北海道庁には、JR北海道が単独では維持困難としている黄色線区(輸送密度200人以上2000人未満の線区)の活用法を探る意味もあった。経営環境が厳しいJR北海道をテコ入れしたい。そこで北海道庁は2016年に道内の経済・観光関係者を招き「観光列車運行可能性検討会議」を開いた。この会議には伊豆急行の担当者が招かれている。2018年には北海道庁、北海道大学、観光事業者が出席して「観光列車旅行商品造成検討事業推進会議」を開催した。この延長線上に「THE ROYAL EXPRESS」の「HOKKAIDO CRUISE TRAIN」がある。

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