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BAD HOPの「解散ライブマーケティング」は何がすごかった? SNS専門家が解説

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月5日 16時17分

 現代のHipHopは、80~90年代の「オールドスクールなHipHop」から相貌を一変させました。出で立ちは、ダボダボなB-BOYファッションからハイブランドを中心としたストリートラグジュアリーに、そして音楽も太いドラムがループする「ブーム・バップ」からクラブやアリーナで音映えする「トラップ」ないしは「ドリル」などに移行。若年層からの憧れを獲得し、先端的に進化し続けているジャンルの一つだといえるでしょう。

(※)HipHopは音楽ジャンルの呼称ではなく、「ラップ(MC)」「DJ」「グラフィティ」「ブレイクダンス」からなるいわゆる「四大要素」を指します。したがって、HipHopを音楽のジャンルとして捉えるのは慣用的には成立しているものの定義上は不完全です(あくまでもDJとそこに言葉を載せるラップが該当する)。

 今日では、著名なラッパーはSNS上でも圧倒的な存在感を放ち、曲を出せばバズり、ファッションや飲料・お酒などさまざまなコラボレーションを展開し、コンシューマーグッズの領域でも大きな経済的インパクトをもたらすようになっています。

 日本でも若年層を中心にHipHop(ラップミュージック)の存在感は高まっており、上記のような展開が見られるようになっていますが、その熱狂は若年層を中心としており、世代差があるのかもしれません。

 一方で、音楽というジャンル全体の趣味嗜好については、世代間の差異は縮小しているようです。2023年の紅白歌合戦では、各世代共にYOASOBIをベストアクトに挙げているのがその証左です。にもかかわらず、HipHopのファン層が特定の世代から広がらないのは、なぜなのでしょうか。

 その理由の一つに、大手レーベルに所属するアーティストが多くないことが挙げられます。大々的なコマーシャルを伴わないため、知名度や話題の広がり方がどうしてもやや局地的にならざるを得ないのです。

 もう一つに、HipHopの核にある価値観として、自分や仲間、そしてそのコミュニティを誇ること(レぺゼンすること)──これは2024年上半期のスマッシュヒット「チーム友達」に表れている──、そして持たざる者が成り上がるという文化様式を若者が特に支持する傾向にあるためです。

 不遇の時代を乗り越えて、経済的に成功して自由を得るという図式はHipHop特有のものではないですが、重要なのはそれがストリートに根差しているということです。そこで時にはグレーなことも含めて「上手くやる」ことが求められます。いわば地元や先輩達から継承される「ストリートワイズ」なセンスが重要な知的資質であり、それは教育機関や学問体系に則って構築される「ブックワイズ」な知性と対をなします。

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