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BAD HOPの「解散ライブマーケティング」は何がすごかった? SNS専門家が解説

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月5日 16時17分

 そして解散までのプロセスとして、今後ラストアルバムをリリースし、6月から始まる最後の全国ツアーを終えた後、1日限りの解散ライブを行うとアナウンス。公式Xにて最後のライブをどこで見たいかファンに呼びかけました。

 大事な決断のタイミングでは、ユーザーとのインタラクションの機会を設けるということ。それによりファンとの絆を示しつつ、意見を募集することで期待感を高めつつ熱量を保持するやり方が巧みです。

 またこの解散発表と同時に、YouTubeで解散への想いを語ったインタビュー動画を公開。突然の出来事をユーザーが深く受け止め理解するための足場を準備している点も配慮が行き届いていると感じました。

 そして、2023年9月の「THE HOPE」(POP YOURSと並ぶ国内最大級HipHopフェス)にて、ラストライブの会場が東京ドームとなることを明らかにしました。フェスはさまざまなアーティストのファンが集まる場であり、いわばHipHopシーン全体の注目度が高まるタイミングにあたります。そのピーク時に発表することによって、PRバリューを高めることに成功しました。

 ここまでの情報発信の流れがすでにお見事ですが、怒涛の展開は続きます。まず2023年末にかけては、他のHipHopアーティストとのビーフ(抗争)が勃発し、双方が互いをディスりあう楽曲をリリースしたことでシーンを盛り上げました。

 やや不穏な空気を伴ってしまうところが難点ですが、「対決」は人々のアテンションを集める最も強い物語装置の一つです。特にSNSでは両陣営のファンがスクラムを組むことで非常に大きなバズを生み出します。広告キャンペーンの世界においても、米国では、王者マクドナルドに対して、バーガーキングが挑戦的なキャンペーンを仕掛け話題を創出する例が知られています──まさに「ビーフ(牛肉)」の構図に他なりません。

 このビーフは偶発的な要素が強かったであろうものの、その後は勢いを生かすかたちで、2月9日にラストアルバム「BAD HOP」を配信リリースし、同日にテレビ朝日系「ミュージックステーション」へ出演。注目度が高まったタイミングで、毎日ミュージックビデオを公開しYouTubeの急上昇ランキングを彼らの曲が占領しました。

 しかも公開されるミュージックビデオには、新人から大御所までHipHopファン大歓喜のコラボレーションが続き、BAD HOP以外のファンも巻き込むかたちで、カウントダウンお祭り状態になっていました。

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