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BAD HOPの「解散ライブマーケティング」は何がすごかった? SNS専門家が解説

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月5日 16時17分

 圧倒的な情報過多の時代、コラボレーションは注目を集める有力な手法です。また、コンテンツをまばらに発信するのではなく、「山」のタイミングに向けて集中投下することでアテンションの波を生み出すことに成功したのは、見習うべき点が多いと感じます。

 また年末から2月にかけては、ABEMAが『BADHOP 1000万1週間生活』と題した密着ドキュメンタリー・バラエティー番組を放送。毎週の新エピソード公開とともに一人のパーソナリティが深く分かる内容で、グループ全体への親しみやすさや共感性を高める契機となりました。

 さらに同時期にInterFMで「#リバトーク TO THE DOME」を毎週生放送するなど、コンテンツの集中投下に加えて、リアルタイムな接点を継続的に設けることで、「ともにゴールまで疾走しよう」というメタメッセージをファンやオーディエンスに伝え続けました。

 このように、解散ライブ当日までの全方位な話題喚起の波状設計が完璧に作り上げられていたと、筆者は評価しています。結果として、チケットはソールドアウトとなり、当日の東京ドームは日本のHipHop史に残る出来事となりました。

 YouTubeで公開された数々のコラボレーション曲を収めた『BAD HOP (THE FINAL Edition)』 はApple Music ランキング総合1位を獲得し、現時点で日本のHIP HOP史上最も聴かれているアルバムとなっています。

 振り返ると、BAD HOPの「解散ライブマーケティング」には、普遍的に通用する知恵と当為が含まれていました。

・彼らの生き様に裏打ちされた困難に挑む姿勢とファンを固く結束させるアティチュードの提示(はやりの言い方をするなら、「Purpose(パーパス)」に近い)

・クライマックスに向けて間髪いれず波状的な盛り上がりをもたらす情報発信の設計

・予想外のアクシデント(ビーフ)をも味方につけアンチも飲み込みながら、HipHopシーン全体を巻き込むコンテクストの創造

 まさに、マーケターにとっても貴重な学びになるストリートワイズな実践だったといえるでしょう。

●著者紹介:天野 彬(あまの あきら)

1986年生まれ。東京大学大学院学際情報学府修了(M.A.)。SNSのトレンドやマーケティング活用に関するリサーチ・コンサルティングが専門。電通デジタル プラットフォーム部門ソーシャルプラットフォーム部 兼 ソーシャルコネクトグループ所属。日経Think! エキスパートコメンテーター、明治学院大学社会学部非常勤講師。TikTok for Business Japan Awards 2024 Creative Category審査員。主著に『新世代のビジネスはスマホの中から生まれる―ショートムービー時代のSNSマーケティング―』(2022年、世界文化社)。その他、『情報メディア白書』(共著)、『広告白書』(共著)など。

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