品ぞろえが多いと逆にストレス……? 生活者の買物欲を刺激する「20のツボ」
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月11日 7時5分
瀧本: 「LOVE」タイプは、“買いたい、これがいい”という自分自身の選択基準に関わります。「自己投資」というツボは、なりたい自分になるための“投資”につながる、と感じると買物がしたくなるという性質を指します。よく“自分へのご褒美(ほうび)”という言葉を聞きますが、それだけではなく、“頑張るために、気合を入れるために”先に買ってしまう――こんな行動も「自己投資」の顕(あらわ)れです。
「REASON」タイプは、“これでいいか”というタイプのツボです。例えば、何が人気なのか、他のみんなと比較してどうなのか、など“買ってもいいと思える理由を作る”ものです。
●生活者が「今」、重要視する買物の“ツボ”とは
――では、実際に今の生活者の「良い買物体験」につながりやすい“ツボ”はどのようなものなのでしょうか。
瀧本: 小売流通企業のバイヤーの方に、今の生活者にとってどんな買物が“良い買物”なのかインタビューしたところ、「ネガティブなことがなく、期待値に対して納得ができること」というご意見をいただきました。
河野: 生活者に対するインタビューでも似たような話があります。極端な例かもしれませんが、選ぶことにストレスを感じている方は「あらゆるものをサブスク化したい」とまで仰っていてとても印象的でした。
飯島: 決まったものを毎回選ぶのは生活者にとって悩みも大きいのかもしれません。実は定量調査からも、それを支持するような結果が得られているんです。
「食品・飲料」と「家電・電化製品」の買物において、生活者が重要だと思う要素の上位20項目を見てみると(下図)、「BOOST」タイプのツボに関わる要素よりも、「KEEP」タイプのツボに関わる要素が数多くランクインしていることが分かります。この傾向は「化粧品」「トイレタリー・日用品」など他のカテゴリーやチャネルでも共通しており、生活者の“ネガティブを回避したい”気持ちがうかがえます。
――今の生活者は「KEEP」タイプのツボを重視しているんですね。「KEEP」タイプのツボには、例えばどのようなものがあるのでしょうか。
瀧本: 今回は代表例として「損失回避」「フリクションレス」を取り上げたいと思います。
損失回避は「選択肢が絞られており、失敗しづらい」「商品を高値掴(つか)みしない、損しない」といった要素から構成されます。これは、EC通販でどこでも商品を買えるようになり便利にはなったが、いざ届いた商品をみたら失敗していた――という苦い経験から、生活者から強いニーズが発生しているのではないでしょうか。
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