日本の映画ポスター、実は「シンプル化」している SNSで変わるプロモーション
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月10日 9時0分
SNSの普及により、映画は鑑賞者起点で新たな潜在層を獲得することや、生活者同士での魅力・情報補完や共有ができるようになりました。一方で、こういった違法な鑑賞や、鑑賞方法が画一化してしまったというネガティブな側面もあります。
劇場での映画鑑賞は1回1900円と、決して安くはありません。生活者は「観に行った映画が面白くなかった」という失敗を避けるべく、宣伝やSNSからの事前情報を参考にします。こうした事前情報を重視しすぎることは、魅力的な映画をはじいてしまったり、鑑賞体験の画一化を招いたりします。感動の幅が制限される可能性も否定できません。
●SNS時代の映画プロモーション カギは「UGCドリブン」
映画はサブスクやDVD化・地上波放送を除くと、消費期間は上映中に限定されます。つまり「タイムリミットのあるコンテンツ」です。
上映期間中に観てもらうには、他の商材と比較しても、短期間の瞬間風速的な話題化が求められます。話題化には、あらかじめSNS上での情報や話題の広がり方を予測した上で情報の出し方や出す順番など、緻密なプロモーション設計が必要です。
つまり、SNS上でどのように口コミ・UGCが広がっていくかを見極め、設計する「UGCドリブン」なプロモーションを企画していくことが重要です。「この人が言うなら観てみようかな」という各SNSクラスタ・コミュニティ内のインフルエンサーへのアプローチや、ストーリー・主題歌・出演者・原作をSNSでの話題化から逆算してフックにしていくのも一つの勝ちパターンです。
一方で、ファスト映画のように情報を事前に提供しすぎると鑑賞意欲を下げることにもつながりかねないため、情報の発信量や出し方のバランスも重要です。
直近では、劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』はさまざまな企業とタイアップし、SNSでコラボコンテンツを発信していました。マクドナルドとのコラボメニューやXアカウントでのキャンペーン、Netflixでの過去作先行配信とXアカウント・電車内ジャック、ananの表紙タイアップなど、あらゆる業種のタイアップ先と多様なコンテンツ・コラボを行ったことで公開前からさまざまな切り口での話題化に成功しました。
結果として、劇場版『名探偵コナン』シリーズ初の観客動員数1006万人、そして興行収入も144億円を突破したことが発表されました(2024年6月2日時点)。
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