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日本の映画ポスター、実は「シンプル化」している SNSで変わるプロモーション

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月10日 9時0分

●『君たちはどう生きるか』に見る、あえて事前情報を控えるプロモーション

 SNS上のUGCやプロモーションによる事前情報が盛んな中、そういった情報が偏重されてしまう兆候を受け、『THE FIRST SLAMDUNK』や『君たちはどう生きるか』はあえて事前情報を一切出さないようなプロモーションを打ち出しました。

 『THE FIRST SLAMDUNK』は通常の映画プロモーションと異なり、あらすじや主要な役以外のキャストを一切事前に公開しませんでした。公開後にUGCやファンによる口コミで一気にポジティブな話題が広がり、世界的ヒットを記録しました(参照:徳力基彦(tokuriki)「映画「THE FIRST SLAM DUNK」の大ヒットに学ぶ、非常識を常識に変える作品の力」)。

 (作品自体のクオリティが高いことが前提ですが)スラムダンクのようにコアなファンが多い作品においては、一般的なメディア向けの施策やプロモーションを行わなくても、映画制作サイドによるXやYouTubeでのファンへのクローズドな情報発信だけでも口コミによって作品の良さを拡げることは可能といえます。

 スタジオジブリ作品の『君たちはどう生きるか』も同様に事前情報がほとんどなく、ポスタービジュアルと原作・脚本・監督が宮崎駿氏であることのみが事前に公開されました。

 注意したいのは、こうした事前情報を極力出さないプロモーション方法は、スラムダンクやスタジオジブリのように、原作や制作陣がすでに世の中の多くの人に知られており、コアなファンの多い作品であるからこそ、挑戦できる手法であるという点です。

 ときに、ミニシアター系や小規模なプロモーションの作品が、あることをきっかけに爆発的に広がることもありますが、基本的にはこういった作品がSNS含む、事前プロモーションを一切しない方針に踏み切るのは厳しい戦い方ではないかと考えます。

●今後の映画プロモーションのトレンドは?

 SNSの普及により、SNS上の口コミやUGCをきっかけに映画鑑賞することや鑑賞前に事前情報を参考にすることが当たり前になり、映画鑑賞のジャーニーは変化しました。また、生活者がSNSを活用し情報収集を行うことを前提に、ポスターをシンプル化する動きやあえて事前情報を出さないプロモーションも登場しました。

 映画の配給会社や代理店のプロモーション担当は、SNS上で作品についてどのようなUGC・話題が生まれるかを予測し、訴求内容・切り口や方法を見極める「UGCドリブン」なプロモーション設計を実行する必要性が増してきています。

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