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サウナーの次はアワラー? 「人工炭酸泉」がじわじわ広がる、3つの理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月19日 6時15分

●「人口炭酸泉」は「新たな日本文化」になるか

 このような「世界一の老人国家」で、心臓や血管に負担をかけるサウナがこれまで以上に人気になっていくとは考えづらい。

 では何が人気になるのかというと、血管拡張や血流改善効果、さらに安眠や疲労回復効果のある人工炭酸泉が浮かんでくる。人間は歳を重ねるほど、自然と睡眠時間が短くなり、眠りも浅くなることが分かっている。だから高齢者ほど「睡眠の質」が大事なのだ。まさしく人工炭酸泉の出番だ。

 そう聞くと、「温泉や入浴施設のトレンドまで老人向けになっていくなんて日本の末路を象徴した話だ」なんてネガティブな印象を抱く人もいるかもしれないが、そんなことはない。

 あまり知られていないが、この人口炭酸泉という分野は「新たな日本文化」として世界に発信できるほどのポテンシャルがあるのだ。

 かつて欧州に多い天然炭酸泉を人工的につくることは不可能とされてきた。炭酸ガスの性質上、湯温が上がれば上がるほど、炭酸ガスを高濃度に溶かし込むことが難しくなる問題点があったからだ。

 しかし、それを世界で初めて実現したのが、三菱ケミカルエンジニアリング(旧三菱レイヨン・エンジニアリング)だ。1997年に炭酸ガス溶解モジュールを使用した独自技術を用いて、1000ppm(パーツ・パー・ミリオン)以上の高濃度炭酸泉を人工的に発生させる装置の開発に成功したのである。そして、その技術を初めてスーパー銭湯に用いたのが2000年の「竜泉寺の湯」だったというわけだ。

 それ以降、日本の人工炭酸泉技術は進化を続けて現在に至る。世界に売り出すことができる誇らしい入浴文化なのだ。

 そんな感じで近い将来に「アワラー」を名乗るシニアや中年が、日本中の温泉・入浴施設にあふれかえっているかもしれない。もちろん、筆者が勝手に描いている未来予測図なので、パチンとはじけて泡のように消えてしまうかもしれない。炭酸だけに。

(窪田順生)

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