変わる「推し活」 SNS分析から分かった「偏愛性」の高まり
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月17日 7時30分
生活者のニーズが高まるとともに技術も発展し、コロナ禍ではキャッシュレス系の話題を取り上げたニュースも多く報じられました。そして現在では日常的にキャッシュレス決済を選択するのが多くの生活者にとって当たり前になっており、生活者自身もその行動に慣れてきていることから、SNS上での言及という意味では比較的落ち着きを見せているのではないでしょうか。
河野: 同じくKEEP系のツボである「損失回避(失敗や損を回避したい)」などはどうでしょうか。今まさに物価高騰による値上げが顕著になっており、「自分が損しないように、なるべくお金を使わない」といった生活者のマインドも高まっていると思います。
実際、購入を検討する商品の価格と容量を見比べ、どちらがお得かを判別するアプリが話題になったりもしましたが、SNS上ではあまり伸びていなかった要因はどこにあるのか気になりました。
増田: 話題や情報がなくなったわけではなく「損失回避」についてもやはり“当たり前化”しているのではないでしょうか。 “お得情報”の目新しさがなくなり、SNSでもそれほど伸びなかったのではと考えています。
また、“タイパ”を重視するZ世代の間では、いろんなコンテンツを消費するために時間を効率化し、とにかく「ハズレを引きたくない」という思いが強いんです。あらかじめ商品の内容や中身を知ってから購入する「ネタバレ消費」もトレンドになっていますが、「損失回避」における人々の根本的な捉え方として、失敗したくないという思いがあります。
ただ、話題にするほどの内容でもないですし、人にシェアして共感が広まるものでもないため、SNSではあまり顕在化されなかったのかもしれません。KEEP系のツボ、つまり「失敗したくない」「労力をかけたくない」という生活者のニーズが高まり「当たり前化」「透明化」したことにより、逆にSNSでの伸びが観測されなくなったのではないかと考察しています。
●“推し活”の多様化で「偏愛性」の話題が増加
河野: 2つ目のポイントである「買物欲の未来の兆し」についておうかがいします。今回の調査で今後伸びていく兆しを見せたのは「偏愛性」と「ストーリー性」のキーワードでした。これは、前回の記事でも紹介した4象限の「LOVE&BOOST」にあたりますが、この兆しの背景には何があるのでしょうか。
増田: 「偏愛性」に関する話題量の推移について、2020年のコロナ禍以前は右肩上がりの増加傾向にありました。その後少し減少し、2023年から再び話題に上がるようになりました。その背景には、コロナ禍におけるリアルライブやイベントなどの中止の影響が大きいと思っています。会場に足を運び、自分の「推し」を応援していた人たちが、「ライブ以外での推しの応援方法」をいろんな方向で考えるようになったことで、いろいろな“推し方”が登場しました。
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