変わる「推し活」 SNS分析から分かった「偏愛性」の高まり
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月17日 7時30分
橘田: ほかにも、推しのイラストを描いて自分のSNSのアイコンにしたり、印刷してアクリルスタンドにしたりと、生活者同士の間でも、自分なりに表現したものをお互いに共有し合う流れが出てきています。VTuberだと、配信の感想とイラストのハッシュタグを決めていて、生活者もそのハッシュタグを追うことで、そこから自分の好きなイラストを探して壁紙に設定できるようになっているんですよ。こうしたコミュニティ作りや拡散の仕方から、企業も学べるポイントがたくさんあるのかもしれません。
●「コラボ施策」成功の鍵は?
河野: 推すきっかけはひとつでも、途中で枝分かれして派生していくイメージはすごく面白いなと感じました。このような状況があるなかで、企業が「偏愛性」に対して取り組めることはどのようなものがあるのでしょうか。
増田: 企業と生活者の接点をたくさん用意しておくのに加えて、その企業に対して、何かひとつでも生活者が共感できるポイントがあれば、そこからその企業のことを好きになっていくきっかけになるでしょう。例えばアニメとコラボをし、アニメファンと企業がうまく関わり合うことで、アニメファンにブランドも好きになってもらうというのは、よくある事例だと思います。
橘田: まさに増田が話したのは、生活者の好意を転移させる考え方ですね。単にブランド認知を取りにいくのではなく、生活者のエンゲージメントを高めた状態で認知も獲得していくことは、コラボ施策を行う上で大事なポイントです。
アニメや漫画、アイドルなど「コンテンツの“顔”ではなく“物語”とコラボする」ことがかなり肝になるわけで、ファンが好きな文脈を把握し、心が動くポイントを理解できるかが、コラボ施策を成功させるのに不可欠な要素と言えるでしょう。「推しの推しは推しになる」という文脈もそうですが、キャラクター一辺倒ではなく、さまざまな角度でファンに刺さるポイントを探っていくことが重要になります。
増田: 逆に偏愛性が強まっているぶん、コラボ先のコンテンツをよく知らないまま「可愛いから、人気だから」という表面的な理由だけで進めると、コンテンツとブランドが噛み合わずにファンの気持ちを捉えられない状況にもなりかねません。コラボの仕方によっては、ブランドのファン離れや批判を浴びてしまう可能性もあり、そう簡単にうまくいくようなことではないとも感じますね。
●「ブランドの世界観に没入できるか」が重要に
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