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「百貨店閉店でにぎわいが消えた」キャンペーンに、新聞が“チカラ”を入れる理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月26日 6時40分

「誘致しようとした日本でも上位クラスの商業関係の施設からことごとく出店の拒否をされました。商業リサーチにおいて出てきた結論が、消費能力とか、そういったところが函館は弱いと。はっきり言って私も想定外の部分がたくさんあって、厳しいのは厳しい。函館市で物をつくって売ろうとか、函館の人たちだけを対象にした商売というのは、成り立たせるには困難な部分があるなと」

 函館市の人口は約23万人で、北海道では札幌、旭川に次ぐ第3の都市だ。そんな商圏であっても、「ビジネスとして成立しない」と商業施設が出店を拒否するのだ。人口約20万人の松江市や、人口約9.1万人の東松山市で百貨店が閉店していくのは不思議ではない。

 もっと言ってしまうと、百貨店という業態が成立しないのは、人口減少社会にもかかわらず、ショッピングセンター(以下、SC)の数がそれほど減っていないこともある。

●人口減少でも増えたSC

 日本ショッピングセンター協会によれば、2023年のSCは3092店である。2018年には3220店だったのでかなり減少している印象を受けるかもしれないが、これは錯覚だ。日本のSCは人口減少が進行している中で、バカバカと建てすぎて完全に飽和状態だったのだ。

 この連載でも繰り返し述べているが、日本の今の状況は半世紀以上前から予想できていた。しかし、それが目に見えるような形で分かってきたのは、少子高齢化という言葉が広く社会に浸透した1990年の「1.57ショック」(合計特殊出生率)を経た2000年以降だ。

 このあたりから近い将来、日本は人口が急速に減っていくことを、政府もマスコも言い出した。歴史的にも文化的にも移民政策がそぐわない国なので、あらゆる市場がシュリンクすることは目に見えていた。

 しかし、そこで奇妙なことが起きる。SCの出店ラッシュが起きるのだ。2003年には2611店だったものが、日本の総人口が減り始めるのと反比例するように出店が加速。2007年は2804店、2009年にはついに3000店を突破して、2016年には3211店にもなった。

 さて、ここまで言えばもうお分かりだろう。日本は人口が急速に減っているのに、SCが異常なペースで増えてしまって、今も3000店と人口に見合わないほどある。しかも、大都市の中心部よりも郊外や地方都市に多い。

 人口が減る中でこれほどSCが氾濫すれば、どこが客を奪われるのかは明白だ。実際、一畑が閉店した松江市で“にぎわいの拠点”はイオンモールなどのSCとなっている。

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