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「百貨店閉店でにぎわいが消えた」キャンペーンに、新聞が“チカラ”を入れる理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月26日 6時40分

 ただ、これも百貨店と同様で、もともと日本は新聞社が異常なほど多すぎた。先進国で、1000万部とか800万部なんて全国新聞は存在しない。ネットやSNSの発達うんぬん以前に過剰供給だったのだ。

 だが、多くの新聞人はそういう事実を受け入れることなく、必死に「新聞はこの社会にとって必要不可欠だ」と訴える。いわく、「ネットメディアと異なる良質な報道」「新聞が消えたらフェイクニュースだらけだ」とかなんとか、新聞社の数が減ったら日本が滅びるみたいな話をしている。

 ただ、これも「百貨店閉店でにぎわいが消えた」キャンペーンと同じく、根拠のない恐怖をあおるミスリードだ。今の日本の人口規模なら新聞はもっと減ったところで、国民に特に大きな不利益はない。

 企業や政治家・有名人の不正をあぶり出しているのが、ほとんど週刊誌や暴露系インフルエンサーだという動かし難い事実がある。

 ネットメディアや週刊誌はうそばかりだというが、世の中で話題になるのはもはや週刊誌や暴露系インフルエンサーが発信源だ。ちょっと前まで岸田政権を苦しめていた裏金問題を突き止めたのも『しんぶん赤旗』で、日本共産党中央委員会が発行するゴリゴリの政党機関紙だ。日本新聞協会にさえ加盟していない。

●隠された裏メッセージ

 記者クラブというムラ社会の中で、抜いた抜かれたと毎度おなじみの情報源、おなじみの相手と競争をしているうちに、日本の新聞は、週刊誌や個人の調査報道だけではなく、さらには政党機関紙にまで追い抜かれてしまったのだ。

 これは百貨店も同様だ。新聞と同じく「社会に必要不可欠」と言われてきたが過剰供給気味なところ、SCやスーパー、アウトレット、ネット通販などに追い抜かされて斜陽産業となった。

 若者にそっぽをむかれて高齢者のノスタルジーの対象となっているところや、ネットやSNS社会にうまく適応できていないところ、そして何よりもこれまで自分たちよりも「格」が下だとさげすんでいたプレーヤーから追い抜かされて存在感を失っているところなど、新聞と百貨店には共通点が多い。

 人はどうしても同じような苦境の人に感情移入をしてしまうものだ。だから、新聞社はこんなにも百貨店を推すのではないか。

 「百貨店閉店でにぎわいが消えた」というミスリードを、新聞が気に入ってやたら繰り返すのは、もしかして「ビジネスとして成立しなくても世の中の役に立つ産業を守りましょう」というメッセージを世間に広めたいからかもしれない。

 新聞業界が「新聞の部数が減ったら言論の自由が消えてしまう」というキャンペーンを仕掛けて、「税金優遇」や「産業保護」を訴え出すのも時間の問題ではないか。

(窪田順生)

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