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非正規の「春闘」、賃上げを勝ち取る意外な戦い方とは? 企業が取り組むべき点も解説

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月22日 7時40分

非正規の「春闘」、賃上げを勝ち取る意外な戦い方とは? 企業が取り組むべき点も解説

中小企業の賃上げはどうなる?

 今年の春闘は賃上げ率5%を超え、33年ぶりの大幅賃上げでスタートした。今年の特徴として、労働組合の要求に満額回答ないし要求額以上の回答を出している企業が多い。

 自動車、電機、鉄鋼など製造業の5つの産業別労働組合で構成する金属労協の3月13日の集計によると、48組合のうち、定期昇給を含まないベースアップの平均は1万4877円。そのうち87.5%の組合が要求額以上の回答を得ている。

 ただし、大幅な賃上げは大手企業かつ労働組合のある企業に限った話だ。労働組合の加入率が圧倒的に少ない中小企業や非正規雇用労働者の賃上げなくして、岸田政権が目指す「賃上げと経済の好循環」は実現しない。

 その中で注目したいのが、非正規雇用労働者で組織する「非正規春闘実行委員会」(以下、実行委員会)の戦いぶりだ。

 個人加盟ユニオンで組織する実行委員会の春闘は2023年から始まった。総合サポートユニオン、東ゼン労組、全国一般東部労組、首都圏青年ユニオンの4労組が呼びかけ団体となり、最終的に16の労組が集まり、36社に春闘交渉を申し入れることになった。

 ちなみに東ゼン労組の上部団体は労働組合の中央組織の連合、首都圏青年ユニオンは共産党系の全労連、東部労組は全労協と違うなど、非正規春闘の下で共闘体制が出来上がったことになる。

●非正規の春闘 そのユニークな戦い方とは?

 実行委員会の各団体の戦いぶりがユニークなのは、1企業に1人ないし数人の組合員しかいないのに、交渉が成立しないとストライキを決行し、その上で交渉を再開し、使用者側の回答に不満があると再びストを決行しながら交渉成立を図っていくという手法にある。

 実行委員会は昨年2月から本格的に交渉を開始したが、第1次回答が出そろった3月上旬、ほとんどの会社がゼロ回答だった。

 会社側にはスト権を確立し、交渉次第ではストの実施を伝えていたことから、3月中旬、10社に対してストを決行した。それが賃上げ交渉の流れを変える潮目となった。

 典型的な事例が、たった1人の組合員の戦いで始まった靴小売大手ABCマートのパート従業員約5000人の賃上げ率6%の獲得だ。

●ABCマートの賃上げ どうやって実現した?

 きっかけは、会社の賃下げの情報を知らされたパート社員が組合に相談に来たことだった。

 その間の経緯について実行委員会の呼びかけ団体の総合サポートユニオンの青木耕太郎共同代表はこう語る。

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