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ビール列車があるのに、なぜ「京急蒲タコハイ駅」は非難された? 現地で聞いた「何が悪かったのか」の声

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月29日 10時7分

 JR・東急に近い蒲田東口商店街には、先ほどと違い、多くのポスターが貼ってあった。

 駅の反対側にある蒲田西口商店街では、物販の店が多いこともあるが、全くポスターを見かけなかった。

 ポスターを貼った居酒屋の店員は、「1日に20人を超える利用者があった」とイベントの効果を強調。一方、ラーメン店では「1日に1~2人いるかどうか。もう少し来ると思った」と、寂しげだった。業態によって、効果が分かれた模様だ。

 蒲田は、つかこうへい氏の直木賞を受賞した小説で、映画や演劇にもなった『蒲田行進曲』の舞台になっている。かつて松竹蒲田撮影所があり、日本映画界の黎明期をリードした場所だ。東急線ガード下に沿って「バーボンロード」という個性的な店が集まる飲み屋街もあり、大人の酒文化を発信するにはもってこいな場所ではないだろうか。

 「蒲田らしいイベントなのに、何が悪かったのか」という店主の声も、バーボンロードでは聞いた。バーボンロードでもポスターはまばらにしか、見かけなかった。

 企画の趣旨として、京急・広報は「街のにぎわい創出及び商店街活性化のために、街全体を盛り上げることを目指して実施した」としている。

●サントリーの見解は?

 一部自粛してイベントを開催した理由として、サントリーHD・広報は、次のように回答した。

 「適量のお酒はさまざまな場面に彩りを与え、生活を豊かにしてくれる素晴らしいものと考える。だからこそ当社では適正飲酒を勧めるモデレーション広告を、1986年に開始後、現在も継続しており、また当社社員が直接、お客さまに働きかけるDRINK SMARTセミナーを実施するなど、さまざまな取り組みで、適正飲酒の啓発に努めている。

 広告出稿に関し、ルールを順守し、さまざまなリスクに対する考慮・配慮を講じたうえで実施しているが、ご指摘をいただいた場合には、内容を検討し、責任あるアルコールのマーケティングの実践につなげている」

 確かに、酒に含有されているエチルアルコールには、致酔性、依存性、発がん性、胎児毒性などさまざまなリスクがあり、単なる嗜好(しこう)品ではないかもしれない。また、酒の広告を、20歳未満の人、断酒・禁酒中の人、飲めない体質の人に、意図せず目に飛び込むような強制視認性が強い、駅のような公共の場所で、見せるべきではないという意見も分かる。

 筆者は交通広告の心理学に詳しくないが、過去の経験を振り返ると、広告が購買行動に影響を与えたことはあったかもしれない。強いて挙げれば、週刊誌など雑誌の中吊り広告は、情報として入ってかなり入ってきた感がある。

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