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「プッチンプリン出荷停止」はなぜ起きた? “ベンダーのせい”にできない根深き問題

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月3日 8時10分

――なるほど。つまり、ERPという概念を実現するためのツールが、ERPパッケージやクラウドERPということですね。ではERPというのは、どんなソフトが含まれているのですか?

廣原氏: 広い意味でERPというのは、企業の業務全般をカバーするものです。具体的には生産管理、販売管理、調達管理、債権債務管理、会計、人事などあらゆる業務を含みます。理想を言えば、1つのソフトウェアでこれら全ての業務を賄えるのがERPです。

――1つのソフトウェアで企業の全ての業務を、というのは理想ですが、現実的には難しいのでしょうか。

廣原氏: そうなんです。現実には、グローバルレベルの大手ベンダーのERPでも、1つのソフトウェアだけで会社の全ての業務を完全にカバーすることは難しいです。ですので、コアとなる業務をメインにカバーしつつ、お客さんが必要な部分を選んで使えるような、ある程度幅広い機能を持ったERPソフトが主流になっています。

――コアになる部分というのは会計ですか?

廣原氏: 会計は確かにコアな部分ではあるんですが、会計だけをERPと呼ぶのは語弊があります。実のところ、グローバルなERPを導入している日本企業の多くは、会計機能しか使っていないケースも多いと思います。でも、本来のERPの考え方からすると、会計だけでは不十分なんですよ。

――となると、会計以外にも、例えば生産管理や販売管理、在庫管理なども含めて使ってこそERPと呼べるということでしょうか。

廣原氏: そういうことですね。会計ソフトというのは、ERPソフトの一部に過ぎません。ERPの本来の目的は、会計も含めた企業活動全体の効率化や可視化を実現することにあります。ただ、このあたりの捉え方は人によって異なるので「うちはSAPを入れているけどERPは入れていない」という人もいれば、「会計ソフトを入れたらERPを入れたことになる」という人もいるんですよ。

●江崎グリコの「プッチンプリン問題」はなぜ起きた?

――最近話題になった江崎グリコの「プッチンプリン問題」は、大企業のERP導入の失敗事例といえるのではないでしょうか。あの問題の原因は何だったのでしょう。

廣原氏: いろいろな意味で、日本企業のERP導入の問題点を象徴する出来事だったと思います。実際の原因は分かりませんが、やはりカスタマイズの弊害が大きかったと思います。日本の大手企業は、グローバル標準のERPを日本の商習慣に合わせるためにERPを大きくカスタマイズして導入することが多いです。

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