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「プッチンプリン出荷停止」はなぜ起きた? “ベンダーのせい”にできない根深き問題

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月3日 8時10分

――となると、日本の企業がERPパッケージを入れても、本来の目的である業務の標準化や効率化は達成できていないということでしょうか。

廣原氏: そういうことになります。パッケージをカスタマイズした瞬間に、ERPの基本コンセプトから外れてしまう。本来は標準機能に業務プロセスを合わせるべきなのに、先述したような事情で日本企業はどうしてもカスタマイズせざるを得ません。しかし、カスタマイズしてしまったことで、ERPのバージョンアップが難しくなるというジレンマがあるわけです。

――グローバル企業の日本子会社とかは、さすがにカスタマイズしないで使ってるんですよね?

廣原氏: いや、実はそうでもありません。グローバル企業の場合、海外の本社はカスタマイズせずにERPを使っていることも多いのですが、肝心の日本の子会社はカスタマイズしているケースもあります。

――でも日本の子会社って、本社の方針に従わないといけないんじゃないんですか?

廣原氏: 日本の文化や商習慣がグローバルスタンダードにフィットしにくいため、ERPをカスタマイズせざるを得ないケースが出てくるんです。そのカスタマイズしたシステムで日々の業務をこなしながら、月末や期末になると、わざわざ標準システムにデータを入れ直して本社に報告するという二度手間をやっているんですよ。

――なぜそんな非効率なことを?

廣原氏: 最終的には、グローバルで連結可能なデータを作らなければならないからです。ただ、日本での業務はカスタマイズをしないと回らない。だから、両方のシステムを並行して使っているという、ある意味非効率な状況が発生しているんです。

――それって、結局ERPを導入した意味がないですよね。

廣原氏: そういうことになります。本来、グローバル企業がERPを導入する大きな目的の一つは、世界中の拠点でシステムを統一して、情報の可視化や経営の効率化を図ることにあります。でも、日本だけが適応できなければ、ERP本来の目的が果たせません。日本の商習慣や企業文化が、グローバルスタンダードとなっているERPの考え方とどうしてもなじまないというのが、根本的な問題なのかもしれません。

●日本企業がERPを成功させるためのポイント

――では日本企業がERPを成功させるためにはどうしたらいいのでしょうか?

廣原氏: 正直言って、日本企業にグローバルスタンダードのERPをそのまま導入するのは、かなり難易度が高いと思います。私も前職のワークスアプリケーションズ時代に相当努力しましたが、やはり限界がありました。

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