「トヨタが日本を見捨てたら、日本人はもっと貧しくなる」説は本当か
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月24日 6時20分
豊田章男会長の発言をめぐって、ざわざわ
「今の日本は頑張ろうという気になれない」「ジャパンラブの私が日本脱出を考えているのは本当に危ない」――。
トヨタ自動車(以下、トヨタ)の豊田章男会長が報道陣に向けて発したこれらの心情を巡って、ネットやSNSではバチバチのバトルが過熱している。
発言に好意的な皆さんは、自動車メーカーが日本政府から嫌がらせのような規制をされていることなどを挙げて、理不尽な「トヨタイジメ」をやめるべきだと訴える。
『ITmedia ビジネスオンライン』で自動車ジャーナリスト・池田直渡氏が2023年の年初に寄稿した「トヨタは日本を諦めつつある 豊田章男社長のメッセージ」という記事もあらためて注目され、日本政府が表明した「2035年までに電動車100%(純ガソリン車販売禁止)」が、トヨタの戦略と大きく食い違うことを理由とする人もいる。また、豊田会長がこの発言の際に報道陣に対して「もうちょっと正しい事実を見て、評価してほしい」と訴えたことから、日本メーカーの足を引っ張るような“偏向マスゴミ”が悪いという人たちもいる。
一方、発言を批判する皆さんは、「不正が発覚したのに認証制度のほうが悪いと言ってみたり逆ギレ感が強い」などと主張。さらに、トヨタの子会社が下請け約50社に金型を無償で保管させたとして下請法違反が勧告されたことなどを引き合いに、「国に文句を言う前にまずは下請イジメをやめろ」という辛辣(しんらつ)な意見も散見される。
ただ、個人的にはこのようなバトルが盛り上がることは悪いことではないと思っている。豊田会長が訴えていることも、それに反感を抱く人たちの主張も、人口減少であらゆる市場がシュリンクするこれからの日本で極めて重要なテーマだ。これをきっかけに国民的議論が盛り上がり、政治も動き、課題解決へと向かう可能性もゼロではないからだ。
ただ、その一方で、バトルの中には「日本経済にとってマイナスになるのでは」と心配してしまうようなビミョーな主張もある。例えば、「トヨタが日本を見捨てたら日本人はもっと貧しくなる」というものだ。
●トヨタの日本経済への影響力
確かに、トヨタの日本経済への影響力はハンパではない。野村総合研究所によると、2019年の自動車生産(付加価値ベース)が名目GDPに占める比率は3.17%だという。国内シェアの半分を握るトヨタが日本から去れば、GDPが下がることは容易に想像できる。
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