「トヨタが日本を見捨てたら、日本人はもっと貧しくなる」説は本当か
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月24日 6時20分
歴史を見ると、日本人はこういう「過去の栄光」にとらわれたときが最も危ない。日米開戦前、軍のエリートたちや、さまざまな研究機関が何度シミュレーションしても「日本敗戦」という結論は変わらなかった。最初の1年は攻勢をかけられても、圧倒的な戦力・資源の差があるのでボロ負けをすることが見えていた。
しかし、軍部は日米開戦に踏み切った。日露戦争で大国ロシアを短期決戦で打ち破った「過去の栄光」があるので、米国も先手必勝でガツンとやれば、日本の勇ましさに米国民が戦意消失するので、長期化せずに停戦交渉に持ち込める、というかなりご都合主義的な「風が吹けば桶屋がもうかるストーリー」に流れたのだ。これが「超大甘」な分析だということは、その後の日本の悲惨な負け方が全て物語っている。
●令和の日本も同じ
令和日本の大企業中心主義もよく似ている。「みんなでトヨタを応援して、自動車産業が盛り上がれば日本経済も復活だ!」なんて大甘なことを言っているようでは、日本の低賃金はより深刻になって、日本も再び惨めな敗北を喫してしまうだろう。
今回は戦争ではないが、今のままではトヨタが最高益を更新して、日経平均株価も5万円突破なんて景気のいい話が盛り上がる陰で、中小企業で働く低賃金労働者たちが、続々と「経済死」する……なんて悲惨な未来もある。
豊田会長は自他共に認める「ジャパンラブ」の経営者だ。日本の自動車産業の未来を考えた危機感も非常によく分かるが、愛する日本の「第二の敗戦」を避けるためにも、「低賃金労働者」の問題にも切り込んでいただきたい。
(窪田順生)
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