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北野武が愛用する高級時計メーカー「ジェイコブ」 なぜ1代でブランド化できたのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月4日 19時38分

北野武が愛用する高級時計メーカー「ジェイコブ」 なぜ1代でブランド化できたのか

テープカットに参列したジェイコブ・アラボ氏(左)と、映画監督の北野武

 自動車と並ぶ高級製品である時計の市場は現在、世界的に拡大傾向にある。米調査会社Fortune Business Insightsによると、2023年の高級時計の市場規模は481億ドル。これが2024年には536億9000万ドル、2032年には1345億3000万ドルに成長すると予測している。

 国内でも時計市場は同様に右肩上がりが続く。矢野経済研究所の調査によると、2022年は8714億円の市場規模が、2023年は1兆30億円まで成長すると予測している。コロナ禍前の2019年の市場規模は8867億円であり、コロナ禍前を超える市場規模を取り戻している格好だ。同研究所によると、この好調の要因には、高級時計の需要増加があり、市場をけん引していると見ている。コロナ禍をきっかけとして国内富裕層を中心に高級時計の需要が増加し、レジャーを控える代わりの消費活動の一環として購入する動きが進んだという。

 将来的な売却を前提とした投資対象としても高級腕時計は注目が集まっている。高齢層だけでなく、それまで腕時計に縁がなかった若者世代の富裕層にも広がっているという。こうした時代背景とともに、2022年に日本市場に新規参入した高級時計メーカーが米ニューヨークの「ジェイコブ&コー」だ。

 同社は満を持して6月29日、日本の旗艦店「ジェイコブ」銀座店をリニューアルオープンさせた。売り場面積を従来の約2倍、200平方メートルに拡大し、国内やインバウンドで訪れた世界の富裕層に訴求する狙いだ。同社はなぜ1代で、ここまでの成長を遂げられたのだろうか。

●ウズベキスタン移民が1代でつかみ取った「アメリカンドリーム」

 ジェイコブ&コーは1986年にジェイコブ・アラボ氏によって設立された。ハイブランドの高級腕時計メーカーとしては後発だ。創業から15年間は宝飾ブランドとして展開。歌手のマドンナやビヨンセ、サッカー選手のデビッド・ベッカムをはじめ、世界中のセレブリティを顧客にしていった。カスタム性が高く、独創的でファッション性のある宝飾デザインが受け入れられたのだという。

 ジェイコブ&コーは当初、宝石ブランドとして、その地位を築き上げていった。ジェイコブ・アラボ氏は旧ソ連のウズベキスタン出身で、10代の頃に一家で米国に移住した背景がある。まさに1代で「アメリカンドリーム」をつかみ取った形だ。

 時計事業を始めたのは21世紀に入ってからの2002年。ジェイコブ・アラボ氏は米国に移住後、時計職人として修行していた経歴もあり「いつか自分の時計を作りたい」という野心もあったという。宝石商としての地位を築いたのち、顧客のセレブから腕時計製作を打診されたのがきっかけだった。

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