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北野武が愛用する高級時計メーカー「ジェイコブ」 なぜ1代でブランド化できたのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月4日 19時38分

 自らのブランドの高級時計を作る――そんな長年の夢を叶(かな)えるべく、ジェイコブ・アラボ氏は、時計作りのメッカであるスイスのジュネーブに渡り、サプライヤー探しの旅に出る。しかし、そこで待っていたのは「できない」と拒絶されたり、法外な値段をふっかけられたりといった“よそ者への対応”だった。

 そこでジェイコブ・アラボ氏は、複雑な機構を持たないものの、持ち前の宝飾を生かしたユニークな時計の製作に着手する。それで2002年に誕生したのが「ファイブタイムゾーン」という時計だ。これには5つの地域の時刻が、盤上で一度に確認できる特徴がある。プライベートジェットで世界を飛び回るセレブのライフスタイルに着想を得たという。

 ファイブタイムゾーンの定価は当時、約60万円以上に価格を設定していたものの、同社の主な顧客層だったセレブ客層を中心に大ヒットする。さらにセレブたちが、今でいうインフルエンサーのような役割を果たす形で、より幅広い客層にも広まっていった。

 こうした高級腕時計ブランドとして誕生したジェイコブ&コーは、そのブランド展開に、それまで宝飾事業によって培ったセレブ人脈を惜しみなく投入する。ファイブタイムゾーン展開の際にも、世界的モデルのナオミ・キャンベルを起用。こうして同社は時計メーカーとしての名声やブランドも獲得していき、数年後には一度拒絶されたスイス・ジュネーブの時計職人たちをサプライヤーに入れることに成功した。

●メッシ、クリロナ、メイウェザーが愛用

 このようなセレブを積極活用したプロモーションは、ジェイコブ&コーの強みでもある。サッカー選手のリオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウド、プロボクシング元世界5階級制覇王者のフロイド・メイウェザーが愛用する時計としても著名だ。2010年代に入りSNSが普及してからは、SNSによるプロモーションも積極的に展開。ジェイコブ&コーのインスタは540万フォロワー、アラボ氏個人でも260万フォロワーを超えている。

 その後ジェイコブ&コーは、歴史の浅い腕時計ブランドとして、それまで他の時計ブランドではやらなかったことへの挑戦にこだわり続けた。もともと宝飾メーカーとして追求してきた、セレブに愛されるような“唯一無二”のものづくりを、腕時計においても継承した。そのためジェイコブ&コーは、セレブも憧れるような“超”高級化路線を展開する。現在、同社が展開する腕時計の価格は、平均で5000万円前後だという。

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