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日本一短い航空路線が廃止 「たった10分」のフライトがもたらしてきたもの

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月30日 6時20分

日本一短い航空路線が廃止 「たった10分」のフライトがもたらしてきたもの

南大東空港から「日本一短い」空の旅へ

 日本航空(JAL)グループの1社、琉球エアーコミューター(RAC)が1997年10月から運航していた南大東~北大東路線が2024年7月末で廃止となる。

 沖縄県の南大東島(みなみだいとうじま)と北大東島(きただいとうじま)を結ぶ同区間は「日本最短」の航空路線で、直線距離にしてたった13キロメートル。東京都内を走るJR京浜東北線の東京~蒲田間よりも短い距離である。飛行時間は約10分。

 廃止が目前に迫った7月中旬、日本一短いフライトを体験してきた。また、同路線に260回以上の乗務経験があるRACの客室乗務員に話を聞いた。

●従来はほとんどの乗客がビジネス利用

 7月某日。那覇空港を午前7時55分に出発するプロペラ機「RAC861便」に乗り込み、一路、南大東島へと向かう。

 那覇と南大東、北大東の航空路線は、通称「三角運航」と呼ばれる。火曜・水曜・木曜は那覇→南大東→北大東→那覇の順に飛び、月曜・金曜・土曜・日曜はその逆回りとなる。これとは別に那覇~南大東のみ毎日1便(往復便)ある。従って、トータルで見ると一日に那覇~南大東は1.5便、那覇~北大東は0.5便となる。

 本稿で取り上げる南大東~北大東間は、住民の移動など利便性を考慮した路線ではあるものの、経由としての利用が多いため、以下の行程で日帰りする人も相当数いるそうだ。

・那覇→南大東(午前7時55分発/午前8時55分着)

・南大東→北大東(午後2時45分発/午後3時05分着)

・北大東→那覇(午後3時35分発/午後4時40分着)

※2024年7月時点の情報

 使用される飛行機は「DHC-8-400カーゴコンビ」。乗客への提供席数は50。本来は74人乗りであるが、座席を減らして貨物スペースを大きく広げた設計にしている。理由は、沖縄本島と離島をつなぐ物流手段としてのニーズが高いからだ。世界でも類を見ないこの貨客混載の飛行機をRACは現在5機所有している。なお、那覇~久米島、那覇~与那国といった同社の他路線もこの飛行機を使う。

 さて、筆者が乗ったRAC861便の機内を見渡したところ、3分の1ほどが作業着姿の男性だった。これは特段珍しい光景ではなく、電気などのインフラ工事や建設業の人たち、あるいは行政職員などによるビジネスユースが大半で、この路線の観光利用は沖縄本島と比べるとそれほど多くないという。沖縄県が公表する統計データによると、2020年度の観光客数は南大東島が2999人、北大東島が482人となっている。

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