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日本一短い航空路線が廃止 「たった10分」のフライトがもたらしてきたもの

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月30日 6時20分

 RAC861便は定刻通りに出発。果てしなく広がる海の上空をフライトすること約1時間、那覇から360キロ以上離れた目的地の南大東空港に到着した。

 先ほど触れたように、普段は観光目的で訪れる人は少ないが、5月の大型連休明けあたりから「日本一短い航空路線がなくなってしまう前に乗っておきたい」という観光客が押し寄せており、島はちょっとした“観光バブル”状態に。宿泊先のオーナーに聞くと、レンタカーやレンタル原付バイクなどが不足しているとのこと。実は筆者も宿に事前予約を入れたものの、もう空きがないと言われ、急遽(きゅうきょ)紹介された店へ借りに行った。

 何とか原付バイクを確保できたので、初上陸した南大東島の各所を巡ってみることに。一周は約20キロ。道路が整備されているため、原付バイクでも心地良く走ることができる。サトウキビで地元経済が成り立つ島だけあって、どこを走っていてもサトウキビ畑が目に入るし、黒糖の香りもほのかに漂ってくる。それもそのはず、南大東島の耕地面積約1500ヘクタールの9割以上でサトウキビを栽培しているからだ。

 滞在中の天気はおおむね快晴で、「絶海の孤島」という名に違わぬ大自然のすごみを全身で味わえた。

●フライトが3分間だった時代も……

 翌日の午後、いよいよ南大東空港から北大東空港へと飛び立つ時が来た。DHC-8-400カーゴコンビに意気揚々と乗り込む。ほぼ満席だ。7月の便は連日キャンセル待ちが続いているという。

 客室乗務員から離陸のアナウンスがあり、プロペラが高速回転する。飛行機はみるみるうちに加速し、あっという間に機体は浮上した。離陸しておよそ1分後に車輪が格納されて、その時にはもう北大東島が眼前に迫っていた。北大東空港の滑走路も肉眼で確認できる。

 このまま空港へ向かうのかと思いきや、北大東島をぐるりと一周してから着陸した。手元の時計を見ると、本当に10分弱のフライトだった。

 以前は定員39人の「DHC-8-Q100」という小型飛行機だったため、ダイレクトに空港に入れた。天候にもよるが、その時の最短フライト時間は3分だったというから驚きだ。2018年2月以降は全機がDHC-8-400カーゴコンビになったことで、飛行機の速度が増したため、安全な着陸に向けて上空で態勢を整えるなどの準備が必要になった。そのための旋回だったわけである。

 到着後は北大東空港の建物外に出ることはなく、搭乗待合室で20分ほど待ち、先ほどと同じ飛行機に再び乗り込んで那覇へと戻った。こうして日本一短いフライトの旅はあっという間に終わった。

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