「キャンプブーム」は終わった アウトドア業界はどの市場に“種”をまけばいいのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月31日 7時30分
それが近年のキャンプブームの高まりや熊本地震、能登半島沖地震など巨大災害が相次いだことを受けて注目を集めており、キャンプグッズを活用するなど、よりカジュアルに進化をして全国に普及しつつあるのだ。
例えば7月29~30日、千葉県木更津市では廃校をリノベーションしたグランピング施設「ETOWA KISARAZU(エトワ木更津)」で防災キャンプのイベントが開催され、子どもからお年寄りまで災害時の避難を想定したキャンプを行った。
南海トラフ巨大地震に備える豊橋市伊古部町でも7月27~28日、高校生から25歳までの若者が集まり「アオハル防災キャンプ」というイベントを実施した。
この防災キャンプ、今は自治体がメインとなって催されているが、今後は企業の社内イベントや研修、町内会や少年野球チームの親睦会などにも広がっていく見通しだ。南海トラフ沖地震や首都直下型地震などが想定されている中で、国も防災・減災の取り組みを呼びかけている。地域防災の要となる職場や地域社会で「防災キャンプ」が普及していくのは「既定路線」と言ってもいいだろう。
●防災キャンプがビジネスチャンスになるワケ
このように成長確実な防災キャンプ市場は、アウトドア業界にとっても新たなビジネスチャンスになることは間違いない。
当たり前の話だが、アウトドアメーカーが出しているキャンプ用品やアウトドアギアは「大自然」の中での使用が前提となっている。しかし、これまで見たように防災キャンプは避難所である体育館や公園、住宅地などの「都市部」が舞台だ。
つまり、今キャンプブームで普及しているキャンプ用品ではオーバースペックなのだ。そこで求められるのが、体育館などの避難所、家の近くの公園、車中泊など、被災者目線に合わせた「防災キャンプ用品」の開発だ。
例えば、真冬に大地震が起きて体育館や学校に避難をした。いくらそこでスノーピークのたき火台や炭を持っていても、集団生活だと周囲に迷惑がかかるので使用できない。灯油ストーブは大きいので地震で逃げる際に持っていきにくい。
では、そこでアウトドアメーカーが、防災リュックに入るくらい小さなカセットガスストーブや「豆炭あんか」(成形炭を入れる湯たんぽのような暖房器具)を開発していたらどうか。寒い体育館で雑魚寝を余儀なくされる被災者としては、かなり助かるのではないか。
さらに、アウトドアメーカーの皆さんにぜひとも開発に力を入れていただきたいのが「路上泊」「車中泊」を意識した防災キャンプ用品である。
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