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「キャンプブーム」は終わった アウトドア業界はどの市場に“種”をまけばいいのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月31日 7時30分

 能登半島沖地震のとき、避難した人々を「体育館に1カ月雑魚寝」にしていた防災体制が指摘されたが、実は首都直下型地震や南海トラフ沖地震が発生した際には、体育館で雑魚寝すらもできず、「野宿」を余儀なくされる人々が大量に出ることが分かっている。

 『NHK 首都圏ナビ』の報道によると、被災後に首都圏で仮住まいが不足する数は最大105万6000戸に上るという。これは専修大学の佐藤慶一教授が首都直下型地震の被害を全壊や半壊、焼失と設定した都の被害想定などから独自に算出したものだ。

●自宅に住めない人々の行き場

 では、家に住めなくなった人々はどこへいくのか。都内の人口に比べて、体育館や公民館といった避難所の数が圧倒的に少ないのはいうまでもない。

 現在、建設が見込まれるプレハブなどは用地の関係で、4万戸にとどまるというから焼け石に水だ。しかも、能登半島沖地震を見ても分かるように入居まで何カ月もかかる。家が決まるまで緊急的に入居できる賃貸住宅も用意はあるが、それも49万3000戸と半分にも満たない。

 これを踏まえると、首都直下型地震が起きた場合、自宅に住めなくなった112万2000人が「仮住まい困難者」として行き場がなくなるということだ。

 では、この112万人はどうするのかというと、現実的には「野宿」しかない。倒壊する恐れのないようなビルや大型商業施設などを開放してもらってそこで雑魚寝をするか、雨露がしのげる場所でうずくまって救援が来るのを待つしかない。幼い子どもや、お年寄りにはかなり辛い。

 しかも、タイミングが悪く冬の寒さや台風などが重なった場合、このような過酷な環境で避難生活をしている人たちは心身のダメージを受けて亡くなっていくこともある。能登半島沖地震でも問題になっている「災害関連死」が爆発的に増えていく恐れもあるのだ。

 こういう最悪のシナリオがかなり現実味を帯びている今、国や自治体が進めなくてはいけないことは目に見えている。112万人が「路上泊」「車中泊」という野宿を余儀なくされるわけなので、そのような「野宿」で命と健康をつないでいくための「防災キャンプ用品」の開発である。

●深刻なトイレ問題の対策も

 例えば、「車中泊避難グッズ」はこれから需要が増えていく。能登半島沖地震でも「『いつか天井が…』怖がる小学生も 震災2カ月、なお車中泊142人」(朝日新聞デジタル 3月9日)と報道されたように、さまざまな事情から車中泊避難を選択する被災者がいる。

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