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お客が求める「おいしいコーヒー」神話 カフェ経営で見落としがちな“ほろ苦い現実”

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月7日 8時27分

 その中で「利用目的」について質問している。喫茶店・カフェに行くんだから当然おいしいコーヒーを飲むのが目的だろうと思うかもしれないが、回答者のうち喫茶店・カフェへ「よく行く」とした人に利用目的を尋ねたところ、「おいしいコーヒー等を飲む」と答えたのは全国調査でわずか11.5%。岐阜県と愛知県はもっと低くて、それぞれ7.5%と6.6%という結果に。

 つまり、コーヒー目的でカフェや喫茶店に来ている客というのは、実は10人中1人程度かそれ以下の少数派だったというわけだ。

 では「利用目的」として全国で最も多いのは何かというと、「休憩・リフレッシュ」(23.0%)。次いで「食事・軽食をとる(モーニングを除く)」(18.2%)、「会話を楽しむ」(16.4%)と続く。

 カンの良い方はお気付きだろうが、愛知県と岐阜県に関してはここに「モーニングサービス」が加わるので、「おいしいコーヒー等を飲む」が全国よりもワンランクダウンになってしまうというわけだ。

●多くの人が重要視しているのは……

 コーヒー愛好家の皆さんや、コーヒーに人生をささげている人々からすれば、なかなか受け入れられない話だが、このような結論を示す調査は他にもある。

 データ・リストの販売や調査代行などを行うナビット(東京都千代田区)は2022年3月、男女1000人を対象に「喫茶店やカフェの利用」に関するインターネット調査を実施。「喫茶店・カフェへ行く際、一番重要視している点は何ですか?」と質問したところ、「コーヒーの味」を挙げたのは8.8%にとどまった。1割にも満たない。

 では、最も多くの人が重要視している点は何かというと「ゆっくりできそうか」(41.5%)である。つまり、喫茶店やカフェに行く人の大多数はコーヒーの味よりも「店の雰囲気」を重視しているのだ。

 意外に思うかもしれないが、冷静に考えてみれば当然だ。

 大手コーヒーチェーンが乱立して、コンビニでも出来立てのコーヒーが飲めて、かつては「甘ったるくてまずい」と言われていた缶コーヒーですら、「世界的バリスタが監修」なんて掲げている。また、カルディなどに行けば世界中のいろんなコーヒー豆が手頃な価格で売っているので、ちょっと面倒でも自宅でドリップすればこれまたうまいコーヒーが楽しめる。

 つまり、「安くてそれなりにうまいコーヒーがどこでも飲める」環境がかなり整っているのだ。そんな中で「おいしいコーヒーを飲む」という目的だけで、カフェや喫茶店を目指す人がどれほどいるだろうか。

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