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お客が求める「おいしいコーヒー」神話 カフェ経営で見落としがちな“ほろ苦い現実”

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月7日 8時27分

 インテリアや椅子にこだわってもいい。趣味や世界観など何かしらのコンセプトを全面に押し出してもいいだろう。あるいは、自分自身がカウンター内で客の癒しになれるよう、教養やコミュニケーション能力を磨いて「雰囲気のある人」になるという手もある。

 そういう他にはない唯一無二のカフェ・喫茶店を目指すやり方もあれば、思い切ってトレンドに丸乗りをする手もある。

 例えば、今ならば「昭和の純喫茶」だ。

 筆者は2022年1月に公開した本連載の記事「喫茶店数は30年で半減! 『純喫茶』はこのまま絶滅してしまうのか」にて、これからは「昭和の純喫茶」をベースに、令和のトレンドを取り入れた「ニュー純喫茶」が増えていくのではないかと予見していた。まさしく今、そのような動きが起こりつつあるのだ。

●各地で誕生している「ニュー純喫茶」

 分かりやすいのは8月10日、静岡県熱海市にオープンする観光複合施設「展望レトロ喫茶桃山館」だ。

 1階には、「昭和レトロ」をコンセプトとして10円ゲームやカプセルトイなどゲームコーナーがあり、2階が純喫茶風の喫茶店になっている。こちらもコンセプト通りに、ナポリタン、クリームソーダとともに、昭和のレストランでは定番の「お子さまランチ」をボリューミーにした「大人のお子さまプレート」を提供する。しかも、屋上にはもはや絶滅してしまったデパートの屋上遊園地を再現しているという。

 孫や子どもを連れていく中高年には「ああ、懐かしい、こんなのあったよ」となるし、Z世代の若者たちはドラマや映画でしか見たことない世界観なので新鮮だ。コーヒーの味よりも「エンタメ」と「癒し」にフォーカスを当てているというわけだ。

 群馬県桐生市にも6月、昭和の純喫茶をモチーフにした「純喫茶ロビンソン桐生店」がオープンしている。こちらは「築地銀だこ」などを展開するホットランドの連結子会社・オールウェイ(東京都中央区)が始めた新業態だ。

 当たり前の話だが、もともと昭和にあった「純喫茶」というジャンルは、大企業がチェーンでやっていたわけではない。それぞれのオーナーが「こういう感じなら高級だろ」とか「これがオレがやりたかった店なんだよ」といった感じの自由な発想で、独自の世界観を打ち出している。だから個性的なのだ。

●無限の可能性が広がるカフェや喫茶店

 つまり、どうしてもフォーマットに落とし込みがちな外食チェーン企業より、自分のやりたいようにできる「個性強めで雰囲気のある店」がつくりやすいので、アドバンテージのある分野なのだ。

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