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お客が求める「おいしいコーヒー」神話 カフェ経営で見落としがちな“ほろ苦い現実”

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月7日 8時27分

●コーヒーに対する消費者の「ほろ苦い現実」

 例えば、「コメダ珈琲店」は店舗によっては行列ができるところもあるが、客の多くはコーヒー目当てで来ているわけではない。ランチや名物「シロノワール」目当ての人もいれば、ゆったりとした席でおしゃべりをしたい人などだ。もちろん、世の中は広いので「コメダブレンドを飲むためなら30分待ちでも全然苦にならない」という人もいらっしゃるだろうが、多数派ではないだろう。

 しかも、ハンドドリップやサイフォン式ではないカフェや喫茶店の場合、似たようなドリップマシーンやエスプレッソマシーンを導入している。コーヒー愛好家など「違いの分かる客」ではない場合、そのような業態の店では「味」や「こだわり」で差別化が難しいのだ。

 誤解なきように断っておくが、カフェや喫茶店経営に対してもはやコーヒーの「味」や「こだわり」なんて関係ないなどと言っているわけではない。

 そのような分野に特化して成功を収めるビジネススタイルももちろんあるし、以前よりコーヒーに関する情報が入手しやすくなったことで、これからますます成熟していく市場でもある。

 先ほど紹介したような職人的なバリスタがいるスペシャルティコーヒーの専門店や、サザコーヒーのようなこだわりの高級豆を用いるような店は、まさしくそこを突き詰めていくのだろう。

 ただ、それはそのようなプレーヤーが長年積み上げてきた努力によってつくられたカテゴリーでもあるし、そこで獲得した顧客だ。これから脱サラしてカフェや喫茶店にチャレンジしようというビギナーが軽い気持ちで入れる世界ではないので、身の丈に合った戦い方をすべきだと申し上げたいのだ。

●バリスタ学校に通う前にすべきこと

 さて、このような「ほろ苦い現実」を理解すれば、脱サラしてカフェ・喫茶店経営に乗り出そうとしている人たちがやらなくてはいけないことが見えてくるだろう。バリスタ学校に通ってコーヒーの専門知識を身に付けることも大事だが、その前にまず押さえなくてはいけないことがある。

 それは「雰囲気づくり」だ。

 仕事の合間にフラっと寄って落ち着く。うまく言い表せないけれど座っているだけで癒される。流れている曲やマスターの人柄に落ち着く。なんか分からないけれど仕事がはかどるし、アイデアもよく出る。……という感じでその店にしか醸し出すことができない「雰囲気」の方向性を決めて、それをブラッシュアップしていくのだ。

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