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「IT多重下請け」が生まれた背景 フリーランスを守る、共同受注の強みとは?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月14日 11時38分

 そう考えると通常の取引関係ともいえる。髙田社長は「それだけなら問題はないのですが、ここに人を仲介する“ピンハネ企業”が出てきていることこそが問題なのです」と指摘した。2社間の取引が明瞭かつ、人材も納得している状態であればトラブルは起きづらくなる。しかし実際には、ミスマッチも多く発生しているのが現状だという。それゆえに2次企業は、仲介企業に人探しをお願いすることになり、ピンハネが増えていく。

 契約を結ぶという意味では、日本も外国も同じだ。外国でも同じことが起こっているのだろうか。髙田社長によれば、海外ではピンハネという感じではなく、エージェントを使って契約を結んでいるという。

 「ITエンジニアは元請けと直接、契約する形式」だといい、そもそも下請けが発生しない仕組みなのだ。その上で「野球などでのスポーツエージェントのように、間をつないだ人は契約の何パーセントかを受け取る形」なのだと説明する。この構造ならば、多重下請け構造は発生しない。それに近いのがPE-BANKの共同受注という仕組みになるのだという。

 「当社とエンジニアがジョイントベンチャーを組んで契約します。契約金額、業務内容、条件といった契約の内容も公開しています。例えば100万円の案件であれば、当社の取り分が10万円、エンジニアは90万円という具合です」

 内容をオープンにしているのが、PE-BANKと他社の違いだという。他社では案件をいくらで受けたのかも分からず、いくらピンハネをしたのかも分からない。つまり「ブラックボックス」状態なのだ。

 PE-BANKはもともと15人の組合員によって組織された「首都圏コンピュータ技術者協同組合」に源流がある。そのメンバーの1人が米国に行った際、共同受注の仕組みを知り、日本にそのやり方を輸入した。国内でPE-BANKのような会社は他にないそうだ。その理由は、ブラックボックスの中身を公開してしまうと、利益が目減りしてうまみがないからだということは容易に想像できる。

 「私たちの取り分は数パーセントという、パーセントビジネスで、その数字を公開しています。それは発注側からも、エンジニアからも信頼を得られる仕組みであり、強みでしかありません」

 一方、地方の人にとっては、その数パーセントを高いと感じる人もいるという。だからといってPE-BANKとしては、地方ごとに取り分の割合を変える考えはない。

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