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地方中小企業でも、年収アップ! DXで間接業務を9割削減、“昭和の工場”を変えた若社長の大改革

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月29日 7時35分

 実は、この5つの改革指針には、DXは含まれていない。着手のきっかけは、ひょんなことから生まれた。前社長のPCがメール経由でウイルスに感染したことだ。対策としてクラウド型のExchange Server(現MicroSoft365)を導入し、三橋氏が管理者として操作中、ブラウザに「謎のボタン」を発見した。

 それがローコードでアプリを作成できる「PowerApps」との出会いだった。触ってみたところ、スマホでも操作可能なローコードアプリを作れることが分かった。

 制御盤の設計や経営者見習いとしての仕事の傍ら、IT関係を一手に引き受けていた三橋氏。クラウド上でのアプリ開発であれば、自宅にいる際に子育てのスキマ時間で開発できた。こうして、ローコードアプリを用いてさまざまな業務の効率化を図り、ほとんどの全ての業務フローを紙で運用してきた同社のDXに乗り出した。

 例えば、約2000種類程度ある部品の手配に関する業務もその一つだ。現場で部品が必要になった際、従来は紙の書類に記載し、事務所内の手配部門に渡すというフローだったが、ミスによる誤手配や、手配依頼業務のために現場の生産性が落ちてしまうことが課題だった。また、在庫管理の責任者に業務負担がかかってしまっていた。

 そこで、部品ごとにQRコードを作成。現場の社員にも1人1台支給したスマホ端末で読み込み、必要数や希望納期を記入するフローにした。未納品の部品の見える化や、過剰在庫の削減につながった。

 年に2回実施していた在庫品の棚卸しも「手書き、手計算」で、1週間以上を要してしまっていた。書き間違いや誤集計のほか、決算期にもかかわらず知識がある人員を割かなければいけないことによる負担が大きかったが、前述したQRコードをスキャンして在庫数を入力する方式に。所要期間は1週間から半日に短縮され、また部品について特別に詳しいわけではない人にも業務を任せられるようになった。

 DXでアプローチできた問題は、こうした効率化だけではない。属人化を軽減し、社員に必要なスキルのハードルを下げたことで、採用面での苦労も減ったという。

 同社が位置する愛知県は、トヨタ自動車や三菱電機など製造業大手がひしめく地域だ。同社のような中小企業が経験者を採用する難度は高い。しかしDXによって、製造業務が全くの未経験であっても、積極的に採用できるようになった。

 未経験者にいきなり図面を渡しても、業務を行うことは難しい。しかも同社の事業は「多品種・少量生産」が特徴だ。扱う部品は多く、さまざまな製品を作る。

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