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スノーピークは株主に配慮していたのか MBO発表と上場廃止のタイミングに「疑問」あり

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月13日 8時30分

スノーピークは株主に配慮していたのか MBO発表と上場廃止のタイミングに「疑問」あり

スノーピークの上場廃止のタイミングに「もやもや」

 スノーピーク(新潟県三条市)が2024年2月にMBO(経営陣による企業買収)を発表し、7月9日に東京証券取引所プライム市場において上場廃止となりました。2015年に上場し、コロナ禍のキャンプブームなどを受けて一気に業績を伸ばしたものの、2022年以降はかげりが見え始め、最終的に株式を非公開化する結果になっています。

 キャンプをしない人にすら認知されているのではないかと思えるほど、近年急速に知名度を上げ、ファンも多いスノーピーク。だからこそ、今回のMBOについて、私自身「もっと少数株主と対話すべきだったのでは」と、何となく「もやっと」する気持ちを抑えられませんでした。

 今回は、2021年から2023年の決算説明資料などをもとにスノーピークの業績の向上・低迷について改めて振り返ります。そして2024年2月に発表された意見表明報告書から、MBOを探り始めたタイミングや、その時期のスノーピークの対応がどのようなものだったのかを見つつ、あらためてMBOの是非について考察したいと思います。

●キャンプブームによる追い風

 2021年は新型コロナウイルスのワクチンが普及し始め、ワクチンを接種した人たちが徐々に外に出始めた時期でした。このころ、「密閉・密接・密集」の3密を避けるための屋外アクティビティーとしてキャンプが注目され、キャンプブームが起きました。

 こうしたキャンプブームによる追い風は、2021年の決算に現れています。売上高は対前年比で50%成長、営業利益も前年比155%増と好調でした。

 一般的にキャンプ用品は春と夏に売れて、秋と冬に売り上げが落ちるとされています。しかし2021年は、秋と冬にもキャンプ用品が売れるほどのブームで、業界全体が好調でした。こうした世の中の流れもあり、「企業として成長し、もうかった」のが2021年でした。

 業績好調を受け、このタイミングで発表された2022年から2024年の中期経営計画は、まさに「いけいけどんどん」という印象でした。2021年に250億円ほどだった売上高を、2024年までに国内と海外あわせて約500億円にし、今後さらに積極的に海外展開していく方針を示すなど、かなり強気の計画を発表していました。

●「物足りない」状況

 2021年に強気の発表をしたスノーピークですが、2022年はどうだったのでしょうか。

 2022年は増収こそしたものの、売上高は307億円にとどまりました。2021年の決算説明資料を見ると、2022年の売上高は327億と予測していたため、目標に対して未達で、数字的には「物足りない」状況だった年といえます。新型コロナウイルスが落ち着き、行動制限が解除されてキャンプ人口が減ったことなどの影響があったと考えられます。

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