スノーピークは株主に配慮していたのか MBO発表と上場廃止のタイミングに「疑問」あり
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月13日 8時30分
2022年に注目すべきは、売上高が伸びた一方で営業利益率が下がり始めた点です。前年の決算説明資料では、2022年の営業利益率は前年比1.1ポイント増と予想していたにもかかわらず、実際は2022年8月に発表した修正予想よりも下回る結果となりました。急激な円安進行・原材料高による原価率上昇や、積極的な店舗展開などによる設備投資の増加が要因と考えられます。
前年の「いけいけどんどん」に陰りが見え始め、株価も踊り場となりました。売り上げ見通しに対する強気の姿勢もやや薄れてきたものの、売上高を伸ばそうと意気込んでいた時期であったため、在庫を積み増したのもこの年でした。
●2023年、強気の姿勢に変化が見られた
こうした強気な姿勢に変化が見られたのが2023年でした。2023年については四半期ごとに振り返ってみたいと思います。
2023年第1四半期決算は、円安による原価率の上昇などもあり、売上高は減少し営業利益率も低下しました。ただ、このタイミングでは「厳しいもののまだ何とかなるだろう」という姿勢が見え、スノーピーク側が売上予想を引き下げることはしていませんでした。
この姿勢に明らかな変化が起きたのが第2四半期の決算発表です。第1四半期と第2四半期の合算結果が非常に悪く、下方修正せざるを得なくなりました。「アウトドア需要を見誤った」「在庫過多になったため仕入れを抑制していく」として業績予想の下方修正を行いました。それと同時に新たな打ち手として、新商品の早期発売などを発表し、新規顧客の取り込みを狙う姿勢を示しました。
しかし残念ながら、第3四半期で売上高はさらに低迷しました。第1四半期から第3四半期の合算で、売上高の達成率は7割ほど。キャンプ用品は春と夏に売れる傾向にあるため、下方修正したもののその目標にさえ届かないことがほぼ確実となりました。
2023年の通期決算の内容は非常に悪いものでした。売上高は2021年と同水準に戻ったものの、営業利益率が明らかに落ちていました。そして業績が回復する「2024年の業績予想」を発表し、その5日後の夕方、意見表明報告書を出してMBOをすることが公表されました。
●MBO決断に至った背景
2023年の通期決算発表から5日後に意見表明報告書が公表されたという点やその内容に、私は疑問を感じざるを得ませんでした。
この意見表明報告書には、スノーピークが米国の投資ファンドであるベインキャピタルとともにTOB(株式公開買い付け)するということや、MBO決断に至った背景が詳細に書かれています。
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