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スノーピークは株主に配慮していたのか MBO発表と上場廃止のタイミングに「疑問」あり

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月13日 8時30分

 また、業績回復が厳しい状況下において、抜本的な改革、非連続的な成長を着実に推進するためには、これまで以上に機動的かつ積極的に必要な投資や経営施策を実行するとともに、優秀な人材を採用・確保していく必要があると述べています。

 そして中長期的な企業価値向上を目指すためには、短期的には業績が悪化するが、これにより株主が不利益を被ることを心苦しく感じるため、MBOをして株式を非公開化するとしています。

 MBOに至った背景をかなり詳細に記載したという姿勢や、短期的に少数株主が不利益を被ることに心苦しさを感じているという点、またMBO時の株価の策定に際し、スノーピークがベインキャピタルとの対話を重ね、当初1株当たり1050円だった価格を最終的に1250円とし、少数株主が少しでも高く売れるようにするための配慮をしたように見える点は良かったと感じます。

 一方で、本当に少数株主のことを考えていたのかと疑問に感じる点も複数ありました。

 例えば、「2023年3月下旬に」MBOを検討し始めたと書かれている点です。2023年3月下旬は第1四半期の決算がほぼ確定したタイミングであり、その結果を見てMBOを検討し始めたことになります。スノーピークは株式の30%未満を山井太社長とその一族の人たちが持っており、約70%は少数株主です。業績悪化を受け、山井社長が自らの立場が危ういと感じて非公開化を検討し始めたとも読めてしまう内容です。

 また、「株価に配慮した事業運営をしなくてはならない」という考え方を示していますが、株価が上下することは至って普通のことであり、「ではなぜ上場したのか?」という疑問を持たざるを得ません。

 企業が上場するメリットは、社会的な知名度や信用力の獲得、優秀な人材の確保、取引先からの信頼を得てさらに企業として成長できる可能性を持てることです。スノーピークはこうしたメリットを受けるために上場し、そのうまみを十分享受したため株式を非公開化すると言っているようにも見えてしまいます。

 2023年3月下旬からMBOを準備しているなかでも、各期の決算発表で今後の業績は伸びると発表していました。情報の非対称性(経営者などの内部者と一般株主との間の情報格差)を考えると、やはり少数株主が取り残されてしまったという印象はぬぐえません。

●残念なポイント

 意見表明報告書には、今後の見通しに関しての具体的な記述があります。例えば、2024年12月期においては、既存卸先における在庫過多の状況が改善することによって既存卸先への販売量の増加や、新規顧客層の獲得による売上高の成長を見込んでいると書かれています。

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