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「死んでくださーい」 フワちゃん的パワハラ上司を“制御”する、効果的な方法

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月14日 6時0分

 筆者はこれまで複数の企業の不祥事対応をする一環で、「死ね」「殺すぞ」など暴言パワハラをした人々に実際にお会いして、なんでこんなことを言うのか話を聞かせてもらったことがある。

 言い訳はそれぞれなのだが、共通しているのはそこまで自分のやったことを「悪い」と反省していない点だ。

 誰も厳しく叱ってくれる人がいないので、自分が汚れ役を買って出た。自分が若いときはこれくらい厳しい指導は当たり前であって、そのおかげで今の自分がある。優しい言葉をかけるなど、叱らないことはいくらでもできるが、そうやって甘やかしたら本当に仕事のできない人間になってしまう。

 ……などなど、こんな感じで、自分の暴言やパワハラというのは、「人を教え導く際の必要悪」だと考えている人が圧倒的に多いのだ。ちなみに、これは個々の信念や哲学というよりも、日本の伝統的な教育観である。

 近代史を振り返れば、日本人にとって「死ね」というのは教育現場で当たり前のように使われていた、パワーがみなぎる魔法の言葉だったのである。何かを教えてもらう、何かの技術を身に付けるには、甘っちょろい考えは捨てて、死ぬ気で取り組まなくてはいけない。

●現代にも続く日本式教育

 そういう日本式教育の伝統的な考えがいまだに脈々と続いているのが、学校の部活動だ。

 2023年1月には、神奈川県立市ケ尾高校のハンドボール部顧問を務めていた男性教諭が複数の部員に対して暴力に加え「死ね」「消えろ」と暴言を吐いたとして、停職6カ月の懲戒処分を受けた。『読売新聞』の報道によると、男性教諭は「試合に勝てば生徒も全て報われるという考えが根本的に間違っていた。大変申し訳ない」と話していたという。

 こうした不祥事がいつまでもなくならないのは、死ぬ気で物事と向き合った者だけがたどり着ける境地があり、それが勝利につながる、というのがいわゆる日本特有の「体育会系ノリ」だ。

 もちろん、こういうノリは学校教育の先にある「職場」でも脈々と引き継がれている。

 キャリア・転職サイト『ミチサガシ』を運営するミチサガシ(福岡市)が2023年1月、パワハラを実際に受けて乗り越えた男女100人に「パワハラをする人の特徴」を質問したところ、最も多いのは「短気な性格」(29.3%)。次に「完璧主義者」(22.2%)、「体育会系」(20.4%)と続いた。

 皆さんも中学や高校のとき、学校に1人はいたであろう「気が短くて規則に異常にこだわる体育会系ノリの顧問」みたいなタイプが、職場でパワハラ上司になっているのだ。

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