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なぜ、パーパス設計は失敗するのか? 経営理論に学ぶ「4つのフェーズ」

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月10日 7時15分

 このフェーズで具体的に行うべきことは、以下の3つのカテゴリーに分類されます。「シンボル(象徴)」「バイブル(教典)」「リチュアル(儀式)」です。

・シンボル

 主な例として、企業のVI(ビジュアルアイデンティティ)が挙げられます。スタートアップではVIをシールにしたり、おそろいのTシャツをつくったりすることも多いですが、パーパスに込められた精神を、デザインや記号などで視覚的に喚起させる役割を持っています。また、オフィスデザインも毎日触れるひとつのシンボルです。例えば「社会のあらゆる変化と挑戦を応援する」を掲げる当社では、”挑戦”を象徴するリング型の打ち合わせスペースをオフィスの真ん中に設置しています。

・バイブル

 カルチャーデッキ、人事評価制度、創業からのナラティブをまとめた動画など、形態はさまざまです。変わったところでは、制定したパーパスをSlackなどのスタンプにすることも。論理的にパーパスの理解を深めるものと、感情的にパーパスへの共感を深めるもの、2つの役割があります。スノーピークの新潟本社には、全国のユーザーから寄贈された歴代の名品とともに企業の歴史を学べるミュージアムがありますが、これは体験型のバイブルといえるでしょう。

・リチュアル

 ワークショップや表彰制度、経営合宿などがこれにあたります。コンテンツを通して帰属意識を高めるとともに、パーパスで奨励される行動を体感させることが狙いです。リクルートやサイバーエージェントは、表彰制度をうまく活用している企業として有名です。表彰された社員のモチベーションやロイヤリティを上げながら、その人選で会社の進むべき方向性を周知させる、さらには成功している社員のノウハウを全体に共有するなど、いくつもの効果を企図しているといいます。

 つくっただけではパーパスは機能しませんし、短期間で浸透させようとしてもメンバーの共感を得ることは難しいです。いかに反復的かつ継続的にパーパスに触れてもらうか、その精神を感じてもらうかが、強い”宗教”をつくれるかどうかを決めるのです。

 今回はパーパス・ディープニングの理論について解説しましたが、ではどういったプロセスで教義化を進めているのか、カルチャー化には何を行なっているのかを、具体的なクライアント事例を通して、次回お話しましょう。

●著者紹介:The Breakthrough Company GO クリエイティブディレクター 松田健

ADKを経て、2020年GOにジョイン。クリエイティブと最先端の経営理論を融合した「Purpose Deepenig」チームを率いる。サブカルチャーからテクノロジーまで幅広い知識を武器に、大企業/スタートアップ問わず経営層と会話しながら事業・ブランド構築することが得意。国内外での受賞、メディア出演多数。アシンメトリーな服が多め。X:@ken_B1/自己紹介:note

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