マック、モス、セブンも……。あらゆる分野で「店舗の小型化」が進んでいる、3つの理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月21日 10時40分
●毎年50万人分の「消費」が消えている日本
日本では毎年、鳥取県の人口と同じ50万人の国民が消えている。それはつまり50万人分の「消費」も消えることになるので、外食や小売の経営にはボディブローのように効いてくる。そこでこの過酷な環境の中で編み出されたのが「店舗の小型化」なのだ。
つまり、消費者が減るのでそこに合わせる形で従業員も減らして、店舗自体も小さくしていくことで生き残りを図っている、という側面もあるのだ。
実はそれを体現している「小型店」がある。ホームセンター大手・DCMの子会社DCMニコットが運営する「ニコット」だ。
同店は今、「限界集落」が叫ばれる日本全国の過疎地や、人口減少が予測される自治体から熱い視線を送られている。このようなことをコンセプトに事業展開をしているからだ。
「私たち、DCMニコットは『小さなまちに大きな便利を届けます。』をコンセプトに、お買い物が困難な地方のまちへ積極的に出店していきます」(DCMニコット公式Webサイト)
「またまた、慈善事業じゃないんだから」とこの言葉を疑う人も多いだろうが、実際に出店エリアを見ると、北海道や東北のかなり小さな街ばかりだ。中には「え? こんなところにスーパーを出店しても、難しいんじゃない?」と驚くようなロケーションにもある。
●ニコットはなぜ「小さなショッピングセンター」を可能にしたのか
では、なぜニコットはそのような出店戦略が可能になっているのかというと、「小型化」だ。
「ホームコンビニエンス」を掲げている同店は、300坪未満の売り場の中に、衣料・食品・住居関連、農業や林業に従事する人の仕事道具まで全て取りそろえているという異色の業態で、店舗によっては100円ショップの「キャンドゥ」も入っている。
つまり、これは言い換えれば、ニコットというのは「小さなホームセンター」「小さなスーパー」「小さな100円ショップ」をギュッと集めた「小さなショッピングセンター」である。巨大なホームセンターや大型スーパーよりも少ないコスト、少ない人件費で運営できるので、消費者が少ない地域でも採算がとれるのだ。
ご存じのように、過疎化や人口減少は全国的な問題だ。高齢化に伴い「買い物困難所」も増えていく。それらの問題解決に、ニコットのような業態は今後ますます求められていくだろう。
さて、このような話を聞いていると、「確かにこれからの日本には必要な業態かもしれないけれど、あんまり景気のいい話じゃないよね」と、小型店にマイナスの印象を抱く人も多いかもしれない。「ちょっと前までは『安いニッポン』とか言われていたけれど、次は“小さなニッポン”か。なんかどんどんみみっちい国になっていくな」という感じで、日本の衰退を感じる人もいらっしゃるだろう。
この記事に関連するニュース
-
食品小売のクイックコマース、近くて便利な店舗網がカギを握る理由
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年8月6日 20時59分
-
オークワ 知多にスーパーセンター開業 東海店舗網強化、愛知出店推進
食品新聞 / 2024年7月26日 14時36分
-
イオン、ネットスーパー「グリーンビーンズ」に手応え
食品新聞 / 2024年7月26日 13時35分
-
赤字続きのミニストップ、逆転を狙う新業態は「コンビニキラー」? まいばすけっとに続けるか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月26日 6時15分
-
「地方に多いホームセンター」が都会進出を狙う訳 人口減少が進む中、大手を軸に再編が進行
東洋経済オンライン / 2024年7月23日 8時30分
ランキング
-
1東武日光線「板倉東洋大前から栃木」に何がある? 小さな駅でも構内が広い「北関東」らしい風景
東洋経済オンライン / 2024年8月21日 7時30分
-
2羽田空港の「衝突事故」をなぜ防げなかったのか…「人間ではなくAIに任せればいい」への元管制官の回答
プレジデントオンライン / 2024年8月21日 8時15分
-
3不動産投資で何か見落としてない? 実際に投資家266人に失敗例を聞いてみた
Finasee / 2024年8月21日 13時0分
-
4お米がありません!75歳のおひとり様女性、8月15日に「年金15万円」が振り込まれたはずが…残金2,000円の地獄「どう生きていけばいいのか」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月21日 6時15分
-
5単なる「ラーメン店主のワガママ」ではない…炎上覚悟で飲食店が「イヤホン・スマホ禁止」にする本当の理由
プレジデントオンライン / 2024年8月21日 10時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください