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「コメ不足」でバカ売れの「パックご飯」が、日本の救世主になりそうな理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月4日 6時10分

「コメ不足」でバカ売れの「パックご飯」が、日本の救世主になりそうな理由

「パックご飯」が日本を救う?

 「米は足りているので安心して」という政府の呼びかけもむなしく、いまだにスーパーの売り場に米は並んでいない。

 そこでバカ売れしているのが「サトウのごはん」(サトウ食品)や「低温製法米のおいしいごはん」(アイリスオーヤマ)など、いわゆる「パックご飯」だ。

 一部報道によれば、サトウ食品は8月22日に行った新商品発表会の中で「今春にライン増設が完了したが、需要拡大を受けて工場の拡張を決定した」と明かした。

 実はこれは米業界にとっては久々に明るいニュースだ。「コメがない」「コメ不足だ」と大騒ぎをしているわりに実は、日本人はそれほど米を食べていないからだ。総務省統計局の家計調査によると、2014~23年まで10年連続で1世帯当たりのパンの支出額が、米の支出額を上回っている。また農林水産省によれば、米の年間需要量は毎年約10万トンずつ減少。おいしいご飯を炊く「炊飯器」の2023年国内出荷台数は約470万台で、2010年に比べて160万台減少している。

 そんな深刻な「コメ離れ」が進行している中で孤軍奮闘というか、右肩上がりで販売量を増やしているのがパックご飯だ。

●「パックご飯」「レトルト米飯」が売れている

 食品需給研究センターが発表している「食品産業動態調査」によると、パックご飯(無菌包装米飯)に「レトルト米飯」を合わせた年間生産量は、2023年に25万367トン。ここ数年で増加している。

 今回のようなコメ不足がまたいつ起こるか分からないところに加えて、日本には台風や巨大地震がわんさかと控えている。非常食として備蓄しつつ、日常的にちょこちょこ食べて補充をしていく、という「ローリングストック法」にもパックご飯はピッタリであり、今後もさらに市場拡大が予想されるのだ。

 ……という話を聞くと、「確かに便利だけど、やっぱり炊き立てにはかなわない。9月に入れば米の供給は徐々に戻るって話だし、米を買いだめして保存しておいたほうがいい」と感じる方も多いかもしれない。

 個人のメリット的なことを言えば確かにそうなるかもしれない。しかし、パックご飯を国民みんなで買ってこの分野を盛り上げることは「日本のため」にもなる。多くの日本人を「飢え」から救うことになるのだ。

 一体どういうことか、順を追ってご説明しよう。

●パックご飯が日本を救う理由

 ご存じのように、日本の食料自給率は38%と先進国の中でダントツに低い。米国や東南アジアはもちろん、隣の中国などに多くを依存している。そのため「有事」が起きてシーレーン(有事に際して確保すべき海上交通路のこと)が分断されてしまうような事態が起きた際には、食料の輸入がストップして、多くの日本人が飢えることが予想されている。

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