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「コメ不足」でバカ売れの「パックご飯」が、日本の救世主になりそうな理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月4日 6時10分

 実際、2023年7月にはインド国内の供給確保などを優先するために米の輸出禁止を決め、世界の食料価格にも大きな影響を与えた。

 では、このように世界各国が着々と食料安全保障に力を入れる中で、われらが日本の米は果たしてどれくらい輸出をしているのか。農林水産省の資料によれば、2023年は3万7186トンだ。同年の主食用米の収穫量は約661万トンなので、その0.6%しか輸出していない。食料自給率38%のこの国では「焼石に水」というレベルだ。

●なぜ米の輸出量が増えないのか

 もちろん、農林水産省も「輸出を増やすのが喫緊の課題」として力を入れているのだが、なんともパッとしない。この原因は輸送コストが高いなど、さまざまなことが言われているが、根本的なところでは「個人経営の農家が多い」ことが挙げられる。

 同省によれば、全国の農業経営体数は約92万9400だが、団体経営体は4万700しかない。圧倒的に個人経営が多い世界だ。「輸入」はもともと煩雑な関税手続きや、海外企業と価格の交渉が必要なので、個人零細企業にはハードルが高い。しかも「農作物」の輸入は、現地の規制当局の審査などもあって、あれやこれやと面倒なのだ。

 つまり、日本の米の輸出量が圧倒的に少ないのは、小さな農家があふれているという「規模」がネックとなっており、農業が「家業」のままで、ほとんどビジネス化されていない構造的な問題が大きいのだ。

 ここを変えていくには正直、まだウン十年もかかる。その間に世界的な食料危機が起きれば、あっという間に日本人は飢えてしまうだろう。

 そこで米の輸出をドカンと増やす「裏技」として業界のみならず、農家にも注目を集めているのが、パックご飯だ。

●パックご飯の輸出は右肩上がりで増加

 例えば、米の生産から加工・販売までを行う「大潟村あきたこまち生産者協会」の涌井徹会長はこんなことをおっしゃっている。

「海外については、お米そのものを輸出するにはさまざまなハードルがあり簡単にはいかないのですが、パックご飯は比較的輸出がしやすいこともあり、最終的に米を輸出するための戦略商品としても有望な商品だと考えています」(秋田県環日本海交流推進協議会の公式Webサイト)

 実際、この言葉を裏付けるように、パックご飯の輸出は右肩上がりで増えている。2023年の輸出数量は1593トンで対前年比+15%となり、直近4年間で輸出額が倍増しているのだ。

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