1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「コメ不足」でバカ売れの「パックご飯」が、日本の救世主になりそうな理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月4日 6時10分

 これが「悲観シナリオ」でも何でもないことは、農林水産省の「食料の安定供給と不測時の食料安全保障について」という資料を見れば分かる。同資料では日本が深刻な食糧不足に陥ったときに、国民生活安定緊急措置法という法律に基づいて国民の理解の下に規制を強めていくというシナリオがまとめられている。

 その中には「1人1日当たり供給熱量が2000kcalを下回ると予測される場合を目安」というレベル2の食糧危機に陥ったら、こうすべきという指針がはっきりと記されている。

 「供給熱量確保のため、小麦、大豆等を増産しつつ、地域の農業生産の実態も踏まえ、熱量効率の高いいも類への生産転換を実施」

 つまり、食料自給率が38%しかないこの国で何らかの「有事」が起きた際には、昔やったようにサツモイモをかじって頑張ろうというわけだ。ちなみに、太平洋戦争が始まる前の1939年の食料自給率は86%もあった。にもかかわらず、あれだけの人が飢えて死んだ。38%ではどんな阿鼻叫喚の地獄が訪れるのかは想像できよう。

●「飢えるニッポン」を避けるには

 では、そんな「飢えるニッポン」を避けるためにわれわれはどうすべきか。注目されているのが「食料安全保障」だ。

 当たり前の話だが、国家というものは国民を決して飢えさせてはいけない。だから基本的には戦争や天変地異が起きたときに備えて、自国内の食料自給率を高めておくものだ。

 といっても無計画にたくさん生産させてしまうと、過剰供給で価格が暴落し、農家や畜産家が廃業に追い込まれる。そこでとりあえずたくさん生産させた食料を国内に流通させるだけではなく、他国にも売りつける。つまり、「自由貿易」にもっていく。

 もし何かしらの「有事」が起きたときは、輸出をストップして国内市場にまわす。そこで再び生産が戻ってきたら今度は過剰供給しないようにそれを輸出に当てる。もちろん、海外の顧客に迷惑をかけてしまうわけだが、やはり自国民を飢えさせないことを優先する考え方で、「輸出」を国内需給の調整弁にしているというわけだ。

 米国やオーストラリアの牛肉が分かりやすいが、米ということではやはりインドだろう。

 農業国として知られるインドの食料自給率は100%。しかし約14億の人口を擁するだけあって、いつ「有事」で食料が不足するかも分からない。そこで「減反」とか愚かなことはせず、せっせと米を生産して海外に輸出している。現在、インドは年間1000万~2000万トンを輸出して、世界に流通する米の約4割を占めている。もし何か「有事」が起きたとき、この1000万トンを引き上げれば14億の国民が飢えずに済むというワケだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください