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経理はもう、AIに仕事を奪われ始めている では、生き残るため何が必要か?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月1日 6時15分

 しかし、いつまでも待ち構えているだけでは、先行している13%の企業との差は開くばかりです。何より、本連載の過去3回の記事で解説したように、多くの企業において経理業務の現状は持続可能ではないのです。

●AIを活用した経理業務の例

 AIを活用した経理業務について、先の日本CFO協会の調査では「データエントリーと転記」(42%)が最も多く、その次に「予測分析やリスク評価」(27%)という結果に。全体的に、従来のテクノロジーをAIで強化しているケース(AI-OCRやBI+AIなど)が多いことが確認されました。

 一方で、問い合わせ対応や開示文書作成など、従来のテクノロジーでは対応が困難だった領域での活用も一定数ありました。また、「その他」の中には「資本的支出の判定」といった判断の自動化や、「売上債権の入金消込」のようにAIで判断能力を強化することで処理の自動化が可能になった(もしくは自動化の範囲が拡大した)業務もありました。

 これまでのテクノロジーでは対応が困難だった領域では、コールセンター業界における「問い合わせ対応」にAIが導入され、生産性の向上に大きく寄与しています。文書の作成や判断の自動化といった高度な専門性を要する領域でも、PwC税理士法人と三菱商事が生成AIを活用した経理業務改革の実証実験を行っており、今後、こうしたAIならではの活用方法が増えてくることが予想されます。

 また、予測分析やリスク評価は前段で引用した図1の「未来志向型の経理財務」では大いに期待されるところであり、分析や評価の対象となるデータの範囲が広くなればなるほど、その効果も大きくなります。そのため、データ(定量情報、定性情報)の準備が非常に重要なポイントとなります。

●AIを使いこなす経理人材

 コンピュータやソフトウェアが得意なことはこれらに任せ、浮いた余力は人にしかできないことに注力させる。デジタル投資を検討する場面で必ず目にするこの言葉は、AIに置き換えてもそのまま通用します。しかしその場合、考慮すべきポイントが2つあります。

・(1)コンピュータやソフトウェアに任せることも不十分なのに、果たしてAIに任せられるのか

・(2)AIの活用領域が広がる中で、経理業務において人にしかできないことは何か

(1)果たしてAIに任せられるのか

 ここでは経理人材に焦点を当てているので、「会社の中で経理部門へのデジタル投資の優先度が低い」という点はいったんわきに置きます。

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