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経理はもう、AIに仕事を奪われ始めている では、生き残るため何が必要か?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月1日 6時15分

 AIにできることを任せるために人はどうすればよいかについて考えると、大きく3つあります。

 1つ目は、AIは何が得意で、何が不得意かを知る必要があります。この点においてテクノロジーとしてのAIを詳しく知る必要はなく、AIの概要について解説した本を読み、AIを活用した経理業務向けのシステムやサービスにどんなものがあるか情報収集すれば十分です。ただし、AIもAIを実装したシステムやサービスも日々進化するため、定期的にアップデートすることが重要です。

 2つ目は、自社の経理業務のあるべき姿と課題を知ることです。日々の仕事をただこなすだけでは、あるべき姿はイメージできませんし、課題も見えてきません。自社において経理業務はどうあるべきかを明確にし、経理業務の全体を俯瞰(ふかん)して、どこに課題があるかを把握する。また、その過程において、他社の経理とも目指す姿や仕事の進め方などについて情報交換を行い、自社の経理業務を客観的に評価することも大切です。

 そして、3つ目が、もっとも基本的なことですが、変わることを厭わないことです。

(2)人にしかできない経理業務とは何か

 慶應義塾大学環境情報学部の教授でデータサイエンティスト協会の理事である安宅和人氏は、著書の『シン・ニホン ~AI×データ時代における日本の再生と人材育成~』の中で、データ×AIの力を解き放つためのスキルセットとして、「ビジネス力」「データエンジニアリング力」(※1)「データサイエンス力」(※2)の3つを挙げています。

(※1)情報処理、人工知能、統計学などの情報科学系の知恵を理解し、使う力(※2)データサイエンスを意味のある形に使えるようにし、実装、運用できるようにする力

 この3つのスキルは全て必要ですが、1人の人間が全てのスキルを高いレベルで保持するのは困難です。どれか1つの領域で高いレベルを保持し、残りの領域は最低限にナレッジを持った人たちがチームを組んで補完し合うことが現実的であると指摘しています。

 この3つのスキルの中で、経理人材が最も力を発揮できるのが「ビジネス力」です。ビジネス力とは、課題背景を理解した上でビジネス課題を整理し、解決する力を指します。これを目にして、経理のプロフェッショナリティと重なる部分が多いと感じた経理関係者は少なくないと思います。

 図3は筆者がERPベンダーに在籍していた頃に、経理がプロフェッショナリティを発揮する上でのERPの有効性を説明するために作成したものです。

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