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小田急「ロマンスカー新型車両」が登場へ これまでの“常識”を飛び越えられるか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月14日 9時10分

 ロマンスカーといえば展望席。それが「EXE」にはない。これには賛否両論があるが、鉄道ファンから特に嫌われた。鉄道趣味団体の「鉄道友の会」が投票で選ぶ「ブルーリボン賞」も「ローレル賞」も与えられなかった。ほかに特筆すべき車両があるわけではなく、この年のブルーリボン賞は「該当なし」だった。

 しかし、実用面は評価されて「グッドデザイン賞」に選ばれている。

●観光以外の需要を開拓した「EXE」

 ロマンスカーの代名詞ともいえる展望席を、なぜ「EXE」は採用しなかったか。そこには、ロマンスカーの需要の変化があった。もともとロマンスカーは新宿~小田原間のノンストップ列車だったけれども、1966年に需要掘り起こしのため、向ヶ丘遊園と新松田に停車する「さがみ」を設定した。どちらも遊園地や御殿場方面の観光を意識した列車だったけれども、通勤や通学などで利用する人がいた。

 そこで1967年から、従来は認められなかった「定期券利用者の乗車」を解禁した。さらに、小田原線内で町田のみに停車する「あしがら」が設定されると、ますます通勤、通学、買物客の利用が増えていく。混雑する通勤電車より着席して移動したいという需要を開拓した。

 1990年代に入り、30年以上も走り続けた3100形「NSE」を新車に置き換えるとき、小田急電鉄は「観光客以外のお客さまにも最適なサービスを提供しよう」と考えた。観光目的ではないから展望席はいらない。3100形以降のロマンスカーは速度を重視して、小型車両の間に台車を置く「連接車体」を採用していた。30000形EXEは大型車両の両端に台車を置き、その代わり定員を増やし、座席間隔も拡大した。

 展望席をなくす代わりに先頭車両に貫通扉を設置して、10両編成を6両編成と4両編成に分割できる仕組みを採用した。相模大野で分割、併合し、新宿~小田原間、新宿~片瀬江ノ島間、それぞれの需要に対応した。ロマンスカーに通勤需要があるとしても、従来の観光客需要ほどとは考えていなかったようだ。

 「EXE」は1998年までに4編成が製造されて、3100形と交代した。この当時、ロマンスカーは展望席付きの7000形「LSE」、10000形「HiSE」、2階建て20000形「RSE」を合わせて10編成の観光タイプがあり、「EXE」は少数派だった。しかし、追加で3編成が製造されて合計7編成になると、ロマンスカー車両の最大勢力になった。

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