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小田急「ロマンスカー新型車両」が登場へ これまでの“常識”を飛び越えられるか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月14日 9時10分

 30000形「EXE」は、フル編成のときに他のロマンスカーに比べて輸送力が大きい。編成を分割すれば需要の変化にも対応できる。つまり「EXE」は便利なロマンスカーだ。鉄道ファンに嫌われても、乗客には好評だ。そもそも展望席の数は少ないし、中間車に乗るほとんどの客には関係ない。むしろ座席間隔が広い「EXE」のほうが好まれる。

 ロマンスカー利用者数は、鉄道趣味誌によると1987年に1100万人だったところ、2003年には1400万人になったという。つまり、300万人の新規需要を獲得したといえる。

 2018年から「EXE」の7編成のうち製造年の早い5編成がリニューアル工事、つまり延命処置を受けて「EXEα」になった。もともと歴代ロマンスカーたちは30年前後活躍していたから、20年目の延命工事は妥当だ。そのまま残り2編成もリニューアルするかと思ったら、これは2028年までに引退し、2028年に登場する新たなロマンスカーと「代替」する。

 この“代替”が、「特急編成総数の帳尻を合わせる」という意味であれば、その用途は30000形のような「通勤・通学・買物客用」とは限らない。

●50000形ロマンスカー「VSE」登場と早期引退

 2028年に登場する新型ロマンスカーは、50000形「VSE」の後継とされる。

 2005年に登場した「VSE」は、「白いロマンスカー」として知られている。展望席付きの観光車両だ。この車両には「観光客需要の再開拓」という使命が与えられた。

 箱根方面行きロマンスカーは、1987年に550万人の利用者がいた。しかし2003年には300万人に減少したという。ロマンスカー全体の利用者数は1100万人から1400万人に増えたけれども、箱根方面の特急利用者が減っていた。その減少分を「EXE」が補っていた。つまり「EXE」の効果は300万人ではなく、箱根方面で減った250万人を補った550万人だったわけだ。この損失がなければ、2003年のロマンスカー利用者数は1650万人になるはずだった。

 1987年のロマンスカーは、すべて展望席付きで12編成あった。しかし2003年では、展望席付きロマンスカーが8編成で、7編成が「EXE」だ。「EXE」は箱根方面にも投入されたけれども、実はこれが不人気だった。ビジネスライクな仕様と外観が嫌われた。ロマンスカーといえば展望席で、流線型のカッコ良さだった。観光客は展望席に座れなくても、展望席付きのロマンスカーを選んでいた。この傾向は親子連れに顕著だったという。鉄道車両の外観は「乗りたくなる仕掛け」でもあった。

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