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給料が上がらなくても「社員旅行」を復活すべき、その意外な経済効果

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月25日 9時46分

 といっても、みんなでハワイや韓国に行ってはいけない。旅行先はあくまで国内。しかも、京都や博多などの有名観光地ではなく、しなびた観光地、あるいは復興中の北陸などだ。

 なぜそこまで「国内社員旅行」といった条件にこだわるのかというと、人口減少や貧困化で減少の一途をたどっている「国内観光客数」のキープに貢献できるからだ。

 京都などの有名観光地にはオーバーツーリズムが問題になるほど外国人観光客があふれているので、あまりピンとこないだろうが、実は今、「国内観光をする日本人」の減少が問題となっている。

 観光庁が発表した2023年の日本人国内のべ旅行者数は4億9758万人。これは2017年の6億4751万人と比べると、1億4993万人も減ってしまっている。もちろん、最も大きな要因は「人口減少」だが、これは先ほども述べた日本人の常軌を逸した低賃金も関係している。旅行やレジャーという「ぜいたく」にカネをかけられない経済的余裕のない人が増えているのだ。

 これは日本経済的にはかなりマズい「悪循環」だ。

●地方活性化にも重要な「観光」

 日本経済はトヨタ自動車などの「ものづくり輸出企業」がけん引しているイメージを持つ人も多いが、実は日本のGDPの約7割はサービス業だ。つまり、飲食、小売、宿泊、イベント、アミューズメント施設運営など幅広いサービス業が包括されている観光業の「客」が減ることは、日本経済がいつまでたっても上向かないということだ。

 もっと言えば、「観光」は地方活性化にも重要だ。観光庁の資料によれば、宿泊業は他産業に比べて材料やサービスの地元周辺地域からの仕入れ割合が高く、8割を超えている。つまり、地産地消ではないが地域経済を回す原動力になっている。

 雇用もしかりだ。宿泊業は都市部よりも地方に行くほど従業員割合が高くなっている。地方部の雇用をより多く担っているのだ。

 かつては地方に大企業を誘致してドカンと工場を建てればよかったが、ものづくり企業の多くが海外拠点を広げている今はもうそういう時代ではない。そこで冷えた地方経済をこの「観光」でよみがえらせようというのが、「観光立国」の基本的な考え方だ。

 減少していく日本人観光客に代わって外国人観光客にカネを落としてもらうことで、日本経済のエンジンであるサービス業を活性化させようというワケだ。

 これはそれなりに成果も残しているものの、いくつか大きな副作用も生んでいる。まずはご存じ、オーバーツーリズムだ。有名観光地には外国人観光客が大挙として押し寄せて、地元民との衝突など阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられている。一方で、それ以外の「地味な観光地」は相変わらず閑古鳥が鳴いているという「格差」も激しくなっているのだ。

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