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「本音で話せない職場」はなぜできるのか 管理職のある“勘違い”

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月18日 7時25分

 このような「対話」的コミュニケーションへの着目に比して、実践的な課題は山積している。そもそもの対話機会の少なさや長時間労働による余裕のなさ、風通しの悪い風土など、そのハードルは多岐にわたる。定量的な論拠やデータがないままに、施策実施が「担当者の思いの強さ次第」といった様子もしばしば目にする。そこで、筆者が担当したパーソル総合研究所の調査から、具体的データを見てこの「職場の対話」を分解していきたい。

●「本音レス」な職場

 まずはシンプルに、職場の会話機会のうちの「本音」で話せる割合を見よう。上司との面談やチーム単位の会議において本音で話せる割合を聴取したところ、それぞれ約4割が「全く本音で話していない」と答えた。本音で話せる割合が「2割未満」も含めれば、過半数以上の従業員が、上司面談・会議において本音・本心でほとんど話していないという、いささかショッキングな結果となった。

 より直感的に分かりやすいのは、職場内での本音で話せる相手を聴取した質問だ。そのような相手は「1人もいない」とする者が50.8%と圧倒的に多い。やはりここでも、誰とも心を通わせていない従業員が半数以上を占めている。

 本音を話せる相手の属性としては、「同年代の同僚」が多く、4人に1人は本音を話せているが、ここでも「上司」は16.4%と少ない割合にとどまっている。これでは、マネジメント変革のために、例えば1on1を必須化したとしても、部下にとっては本音を話せない上司との対話機会が増えてしまうだけだ。

 なお、この調査は「本音」の内容をあえて特定せずに本音割合などを聴取し、その後「本音」と感じる会話内容を聴取するという段階的な聴き方を採用している。

 本音の内容は、「職場や会社に対する疑問、不満」が最も多く、次に「仕事のやり方や進め方についての意見」が続く。年代別に見ると、高齢層は「現在の仕事・職場」についての内容、若年は「キャリア関連」の内容において本音で話せたと感じる傾向が強いことも分かっている。

 また、別コラムで紹介するが、職場でのコミュニケーションで本音で話せている人ほど、ジョブ・クラフティング(自分に与えられた仕事を主体的に捉え直すことで、やりがいのあるものに仕事をつくり変えていく取り組み)、ワーク・エンゲージメント(仕事に対しての活力・没頭・熱意といったポジティブな心理状態のこと)、個人パフォーマンス(主観)、はたらく幸せ実感(働くことを通じて、幸せを感じている状態)が明確に高いことが示されている。

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