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「本音で話せない職場」はなぜできるのか 管理職のある“勘違い”

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月18日 7時25分

●従業員が本音を話せないのはなぜか

 さて、こうした「本音の話せなさ」は何によって由来するのだろうか。多くの要因が考えられるが、パーソル総合研究所の分析によって明らかになったのは、従業員は職場のコミュニケーションにおいて「6つのリスク」を感じており、それらが本音・本心のコミュニケーションから従業員を遠ざけているということだ。その6つとは下記のものである。

 (1)「裏切り者リスク」とは、本音で意見を言うと、組織に愛着がない、または転職でも考えているのではないかと疑われるリスクだ。仕事上の問題点や組織への不満・疑問などを口にすることが、はばかられてしまうということだろう。

 (2)「拡散リスク」とは、本心で話したことが、目の前の相手ではない意図しない人にまで広がってしまうかもしれないというリスクである。信頼できる相手であっても、信頼できない相手にまでその情報が伝わってしまうようでは、本音では話しにくいということだ。

 (3)「低評価リスク」とは、自分の評判が下がりそう、ということだ。自分の話のレベル感に自信がなかったり、空気を読まないことを言ったりすることによって、自己評価が下がることを気にするような意識である。

 (4)「身分不相応リスク」とは、自分の立場からは言えないという社内でのポジショニングを気にするリスク意識だ。新人や若年者が先輩の仕事に口を出すことを遠慮したり、逆に上位役職者がメンバーに対して本音の弱みを自己開示できなかったりすることが想定される。

 (5)「無関心リスク」とは、そもそも話の内容に関心を持ってもらえないのではないかという意識である。せっかく思い切った意見を口に出したとしても、それが聞き手の反応を十分に引き出せなかったり、深刻な問題として扱ってもらえなかったりするのであれば、意見を口にすることは、やはりはばかられる。

 (6)「関係悪化リスク」とは、本音を吐露することによって対話相手とけんかになったり、相手と気まずくなったりしそうだという意識だ。「和を以て貴しとなす」という組織文化は、相手との人間関係の悪化を恐れ、本音から遠ざけている。

 分析の結果、これらのリスクが社内コミュニケーションの本音度を有意に下げてしまっていた。こうしたリスクについて一般には、心理的安全性の研究者であるエイミー・C・エドモンドソンによる4つの対人リスクが知られている。

 それは、(1)無知だと思われる不安、(2)無能だと思われる不安、(3)ネガティブだと思われる不安、(4)邪魔をする人だと思われる不安が上げられているが、本研究によって明らかになったのはそれよりも具体的で、かつ日本の文脈に即した要素である。本音を話すということは、このような多角的な意味から「リスク」として感知されているということだ。

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