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「本音で話せない職場」はなぜできるのか 管理職のある“勘違い”

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月18日 7時25分

●属性別に異なるリスク意識

 さらに、本音を話すことを妨げるリスク意識は、組織の中の階層や性年代別によって異なるということも明らかになっている。

 例えば、女性の30~40代は全体的にリスク意識が強い。特に女性は「身分不相応」リスクの意識が強く、管理職や重要ポジションが男性ばかりに占められている日本の組織状態がダイレクトに反映されている。逆に、男性30~40代は「裏切り者」リスクを強く感じている傾向が見られ、会社の中心者として活躍し始めているからこそ組織への愛着を疑われるようなことを言わない傾向が見られる。

 また、リスク意識を上げている要素としては、「キャリアの主体性の欠如」「時間の裁量権の欠如」「業務の自律性の欠如」が見いだされた。それらの傾向が強い組織は、本音を言う事へのリスク意識が全体的に高い傾向にある。人材マネジメント総体との関連が示されている結果だ。

●本音の「バランス」が崩れている職場

 さて、ここまでの分析で、日本の職場は全体的に「本音で話せていない」状況とその要因が明らかになった。しかし、問題はそれだけではない。さらに分析を進めると、組織の階層的なポジションによって、このような職場のコミュニケーションの状況への認識がまったく異なるという別の問題も見えてきた。

 組織階層的には下位に属する一般社員・従業員は、職場で本音を出せていないと感じる割合が強い。その一方で、事業部長や役員といった上位層は、自分も職場メンバーも「本音で話せている」と感じている傾向が見られたのだ。この差は、職務内容や業界による差よりも明確に大きいものだった。

 シンプルに換言すれば、上位層の認識は「勘違い」である。その勘違いとは、現場の実情を客観的に知ることができていないという「現場への盲目」タイプの錯誤もあり得るし、また、「自分が本音で話せているのだから、他のメンバーも話せているはずだ」という「裸の王様」タイプの錯誤もあり得るだろう。少なくとも、上層から見えている「風通しの良さ」は、メンバー層の立場からは当てにならない可能性が高いということだ。

●本音への「関心」の欠如

 興味深いのは、本音で話していない従業員は、「本音への関心」もまた低いという傾向が見られたことである。本音でコミュニケーションすることへの関心度合いが低い従業員は、「自分」の本音や本心への関心だけでなく、「他者」の本音や本心への関心も同時に低かった。

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