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住宅ローンで「2兆円目指す」 住信SBIネット銀はなぜ、大躍進しているのか?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月14日 14時42分

 不動産業界でのDXが困難を極めてきた背景には、複数の要因が絡み合っている。まず、業界の特性として、顧客、不動産事業者、金融機関、行政機関など、多様なステークホルダーが関与し、それぞれが独自のシステムや慣行を持っている。これらの異なるシステム間での情報連携が容易ではなく、結果として紙の書類や対面でのやりとりが長く残存することとなった。実際のところ、紙で受け取った内容をオペレーターが自社のシステムに手入力しているというのが業界の現状だ。

 また、不動産取引に関わる法的要件や規制が複雑で、デジタル化への対応が追い付いていない面もある。例えば、本人確認や契約書への押印など、従来は対面で行うことが前提とされてきた手続きも多い。

 さらに、住宅購入という人生で最も大きな買い物の一つであるため、顧客側にも従来の対面・紙ベースのプロセスへの信頼が根強く残っている。この心理的な壁も、業界全体のDXを遅らせる一因となっていた。

 加えて、大手デベロッパーや金融機関は既存のシステムに多額の投資を行っており、新しいデジタルプラットフォームへの移行には多大なコストとリスクが伴う。

 こうした複合的な要因により、不動産業界は他の産業に比べてデジタル化が遅れていた。しかし、寺田氏は、これらの課題こそが新たな成長の機会になると考えたという。

 不動産DXを進めるための解決策として、同行が5月に投入したのが「かんたん住宅ローン」だ。このサービスは、顧客、不動産事業者、銀行の3者をオンラインでつなぐデジタルプラットフォームだ。

 「当社はネット銀行なので、当然ながらオンラインでの手続きは可能だった。しかし、それだけでは業界全体の課題解決にはならない」と寺田氏。同行が目指したのは、住宅ローン手続きに関わる全てのステークホルダーをデジタルでつなぐ、新しい仕組みの構築だった。

 開発には約3年の歳月を要した。単にオンライン化するだけでなく、銀行の基幹系システムとの連携や、不動産事業者のニーズへの対応など、多くの課題を解決する必要があったという。

 具体的には、次の3つの機能が柱となっている。

 みんなで協力:手続きは「やることリスト」に沿って進めるだけだ。顧客だけでなく、不動産事業者も進捗状況を把握でき、適切なタイミングでフォローできる。例えば、物件関係書類は不動産事業者がアップロードするなど、役割分担も可能だ。さらに、ペアローンのパートナーや連帯保証人と一緒に手続きを進められる機能も備えている。

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