オンワード樫山の「ニットシューズ」が10万足を突破 従来の“不満”を解消して「大人気」
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月28日 8時10分
ニットシューズ「steppi(ステッピ)」が好調
痛い、脱げる、蒸れるといった従来の靴のデメリット解消を目指し、「履き心地の良さ」を追求して誕生したニットシューズブランド「steppi(ステッピ)」。
アパレルブランドを多数展開するオンワード樫山(東京都中央区)が2022年に発売した新ブランドで、発売から2年で10万足を販売するヒット商品になっている。オンワード樫山の公式通販サイトの売り上げランキングで、ステッピの売れ筋商品「ベーシック ポインテッド パンプス」が5週連続で1位を獲得した実績もある。
特徴は、自社開発したニット生地を採用していること。軽い、伸縮性や通気性にすぐれている、撥水機能があり、デザイン性が高く、洗濯機で洗えるなど、メリットが多い。従来の靴にあった不満を解消しやすいことがヒットの要因のようだ。
ステッピはどのように誕生し、支持を獲得してきたのか。オンワード樫山 PR・コミュニケーションSec. 課長代理の榎本拓也氏に聞いた。
●「機能性」と「美しさ」を両立
ステッピの開発は今から4年ほど前にさかのぼる。当時、米国で市場規模を拡大しているニットシューズブランドがあり、ニットの機能性の高さから浸透が進んでいる背景があった。日本ではニットシューズはほとんど存在していなかったが、米国同様に浸透する可能性がありそうだと考え、開発に着手したという。
求めたのは「機能性」と「美しさ」の両軸をかなえること。第1弾の製品として、女性をターゲットにした「パンプス」を開発した。
ニットは伸縮性や通気性にすぐれた万能素材であり、革や合皮と比較して履き心地の良さを出しやすい。そうした特徴に加え、1本1本の糸に撥水加工を施し、密度高く編み込むことで撥水性も高めた。
さらに、美しさを追求するために革靴を作る際に使用する木型をベースに、革靴を得意とする工場で生産することにした。靴のできを左右する重要な要素となる木型の開発は、最も苦労した点の一つだという。
伸縮性があるニットを使ってパンプスを作るにあたり、100人以上の女性にサンプルを試し履きしてもらいながら、木型の微調整を相当数重ねたそうだ。
また、軽さを求めてアウトソール(底)にはラバーではなく、合成ゴムを使用した発泡ソールを採用。軽量でクッション性が高く、摩耗に強いメリットもある。一方、素材の配合バランスが難しく、温度によって変形してしまうことも。試行錯誤しながら、製品化にこぎつけたという。
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